2012 Fiscal Year Research-status Report
南アジアにおける宗教教育の達成度に関する公式・非公式教育システムをめぐる比較研究
Project/Area Number |
23710300
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
カビル モハマド・フマユン 広島大学, 国際協力研究科, 研究員 (50596773)
|
Keywords | マドラサ / ムスリム / イスラム / 南アシア / 教育の発展 |
Research Abstract |
2012会計年度には、インドのウタルプラデシュのハープル地区の小さな村でフィールドワークを行った。初年度は、インドのフィールドワークを大きなイスラーム宗教学校で行ったが、今年度は、コミュニティー・レベルにおけるイスラーム学校(マドラサ)教育に関する実質的なデータを集めた。さらに、私は、バングラデシュのダッカ市でフィールドワークを行い、承認されていないイスラーム宗教学校の教育委員会から重要な資料を集めることができた。 これらのフィールドワークのデータに基づき、学会 8th Biennial Conference of the Comparative Education Society of Asiaで報告を行った。さらに、私はウィスコンシン大学マディソン校で行われた国際会議で論文について報告を行った。研究計画では、パキスタンでフィールドワークを行うことを予定していたが、国の治安上の問題などにより実施することができなかったため、この部分の現地調査は来年度に繰り越すこととした。ただこの間、以下に示すように、パキスタンのマドラサについては文献研究を行い、しかるべき研究機関に投稿している。 本研究の個別の研究成果については、以下のようなタイトル・計画のもとで順次論文として刊行されている。 ①“Reflections on the Deobandi Reformist Agenda in a Female Quomi Madrasa in Bangladesh”(with Momotaj Begum), In South Asia, Vol.35, no.2 (special supplement):353-380. ②“Madrasas in Pakistan: The Reform Question” (日本語翻訳バージョン,京都大学,掲載決定,印刷中)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究活動として、私は3つの異なる国-バングラデシュ、インドおよびパキスタンでフィールドワークを行うことを計画していた。フィールドワークの目的は、それぞれのイスラーム宗教学校の持つ多様性-国の教育システムを越えて機能しているイスラーム宗教教育の多様性を調査することであった。なぜ南アジアのイスラーム教徒は、国家システムによって承認されないイスラーム宗教学校を好んで選ぶのか。 これまで、私はインドとバングラデシュで2回のフィールドワークを行った。私のインドでの最初のフィールドワークは、主としてラクナウ、ウタルプラデシュでイスラーム宗教学校の教育委員会などのさまざまな関係機関に焦点を当て調査を行った。2回目のフィールドワークでは、イスラーム教徒の住人が多数を占める村に焦点を当て調査を行った。その一方で、バングラデシュでのフォローアップ・フィールドワークによって、これまでの研究成果を補強する結果を得ることができた。計画当初、パキスタンでフィールドワークをすることを予定していたが、治安上の理由に加え、現在の状況の中でイスラーム宗教学校(マドラサ)の研究がセンシティブな側面を持っているため、調査を行うことができなかった。また、私はバングラデシュでフィールドワークを行った。これらの調査を通して、これまでに、本質的な研究データを集めることができた。これらに基づき、私はタイ、米国およびカナダで研究報告を行った。私の研究成果のいくつかは論文として刊行される予定で、その他にも、論文が既に受理されたものがある。
|
Strategy for Future Research Activity |
この研究事業はさらに一年間継続の予定である。2012年会計年度において、インドとバングラデシュにおいて調査を行い、研究データを集めることができた。2013年の最終会計年度には、前年度調査ができなかったパキスタンのフィールド調査を継続し、パキスタンにおいてフィールド調査を実施する予定となっている。そして、これまでの研究調査を通して集めたインド、バングラデシュ、そして今年度調査を行って収集予定であるパキスタンのデータの比較分析を行う予定である。昨年はフィールド調査のために多くの時間を費やしたが、今年も、南アジアにおける三年間におよぶ研究活動から得られた研究上の発見に基づいて、研究成果の還元、本の出版に向けた努力を継続していく予定である
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年、予算はおもにパキスタンにおけるフィールド調査と国際会議の出席に支出される計画である。予算のうちいくらかは、フィールド調査時の研究補助者の雇用にも支出されることになる。2013年会計年度においては、文献等の購入を限定的なものとし、成果の還元に向けた準備により多くの努力を注入する予定である。
|