2013 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアのタケ類をモデルとした人文景観の形成に関する研究
Project/Area Number |
23710302
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大野 朋子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (10420746)
|
Keywords | 伝統楽器 / 民族文化 / 植物利用 / 東南アジア / タケ文化 / 自然資源 / 少数民族 |
Research Abstract |
これまで、自然資源の利用の多様性を明らかにするためにタイに住む少数民族Hmong族の伝統楽器の材料となるタケ(Sinobambusa intermedia)が民族とともに移動している植物であることを調査してきたが、ラオスにおけるHmong族のS. intermediaの実態およびタイ北部に住む主な少数民族のうち、Karen族とMien族については竹製の楽器の有無について十分な情報が得られていなかった。そのため25年度は、これまでの調査結果を補足する形で調査、聞き取りを行った。ラオス北部ルアンナムター周辺に住むHmong族もまた、S. intermediaを特別なタケとして集落に栽培しており、実際に葬儀で使用される現場を確認してその使い方もタイのHmong族と同様であることがわかった。また、ラオス北部からタイのチェンライ周辺に住むMien族は、竹製の楽器を持たず、S. intermediaも使用、栽培していないことを確認した。同様に、タイ北西部メーホンソン県のKaren族も竹製の楽器は使っていなかった。しかし、Karen族は水牛の角や集落周辺で採取できる樹木で作った笛や鉄製の銅鑼、太鼓を所持し、特に稲の収穫の際には必ず笛を吹く習慣があることを確認できた。 これらの調査から、S. intermediaは、Hmong族のみに使用され、民族の移動に伴いながら集落に栽培される特別なタケであることが実証できた。得られた成果は照葉樹林文化研究会で発表し、情報交換を行った。また、タケの様々な利用について執筆した「栽培植物の自然史II」が出版された。
|
Research Products
(2 results)