2012 Fiscal Year Research-status Report
日本の対南米レアメタル獲得戦略-国際交渉と経済協力-
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23710304
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
幸地 茂 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (80406818)
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Keywords | ラテンアメリカ / 南米 / レアメタル / 日本 / 国際交渉 / 経済協力 |
Research Abstract |
本研究課題は、研究代表者が国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)で開始した研究(“Economic coopeeration and ties between Japan and Latin America and the Caribbean”in ECLAC (2010), Latin America and the Caribbean in the World Economy 2009-2010)を発展させる一環として行っているものである。日本政府は現在、レアメタル(希少金属)の輸入元の多角化を急いでいる。レアメタルは携帯電話や次世代電気自動車などの生産に欠かせない素材で、日本の産業にとってその安定供給が重要な課題である。政府はレアメタルを確保するため、様々な支援策を実施している。日本企業によるレアメタル確保を支援するため、政府開発援助(ODA)や政府系金融を戦略的に活用しつつ、産出国に対しインフラ整備を支援するほか、包括的経済協力も実施している。本研究は、注目を集める南米諸国と日本のレアメタルをめぐる経済協力交渉を分析し、交渉全体の構造を把握するとともに、南米諸国との交渉における日本政府諸機関の調整上の特徴と課題を明らかにすることを目的とする。平成24年度には、ボリビアで政府関係機関等でのフィールドワークを行い、支援体制の全体像を把握することができた。研究成果は執筆中であるが、本報告書ではさしあたりその意義を述べたい。ラテンアメリカのエネルギー・天然資源を必要としている日本にとって、レアメタルの事例は、個別の事例としてだけでなく、その他のエネルギー・天然資源開発への協力の在り方を検討する際にも示唆を与えると思われる。また、日本のODAをはじめとする経済協力そのものの有効性や戦略的活用を考える際にも役に立つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年度に、ボリビアで包括的経済支援策を対象としたフィールド・ワーク等を行い、秋から最終的な取りまとめを行う予定であったが、同国で中国や韓国も本格的なリチウム獲得を目指していること等から、我が国の対ボリビア資源関連の最終的な支援策はまだ定まらず、「日本の対南米レアメタル戦略」の見直しを余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で扱う「日本の対南米レアメタル戦略」は、平成25年の半ばまでに最終決定されるという情報が入っている。この最終決定の内容やこれに至るプロセスを分析したうえで、最終的な取りまとめを完成することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額は国外出張経費や図書購入経費に充てることにしたい。
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