2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代中国の政治参加に関する研究:体制内の合法的な政治参加と政治社会の安定
Project/Area Number |
23710305
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加茂 具樹 慶應義塾大学, 総合政策学部, 准教授 (30365499)
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Keywords | 中国共産党 / 権威主義国家 / 民主制度 / 人民代表大会 / 中国人民政治協商会議 |
Research Abstract |
民主主義国家と同様に、権威主義国家には政党が存在し、選挙が行われ、議会がある。権威主義国家における民主的な制度に関する先行研究によれば、権威主義国家の民主的な制度は政治体制の民主化を促すような働きをすることはほとんどなく、それは政治体制の安定性を高める働きをする。 現代中国における体制内の合法的な民主的な制度である人民代表大会と中国人民政治協商会議もまた、他の権威主義国家の民意機関と同様に、体制の安定の維持に寄与してきた。彼らは中国共産党と政府の代理者として体制の意思を社会に伝達し、また中国共産党と政府の諫言者として社会の動向を把握して体制に伝達してきた。中国共産党と政府が、社会の変化に応じて柔軟な政策を形成することができたのは、そうした民主的な制度の働きがあったからである。近年、人民代表大会と中国人民政治協商会議は、中国共産党と政府の代理者と諫言者だけでなく、社会の代表者としての政治的な機能を発揮しつつある。人民代表大会は選挙区の要求を、中国人民政治協商会議は社会の集団の要求を代表する役割を担っている。代表者、諫言者、そして代理者である人民代表大会と中国人民政治協商会議は、中国共産党と政府のまえで、まるで共演しているかのようにして、政策立案に必要な情報を伝えている。 中国共産党による一党体制という政治体制が、比較的長期にわたって安定を維持してきた一つの理由は、中国の民意機関が、こうして代理者、諫言者、代表者、そして共演という政治的役割を発揮してきたからである。
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Research Products
(6 results)