2011 Fiscal Year Research-status Report
エリトリアにおける国民国家形成の史的展開:連邦制(1952-61)の経験
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23710306
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
眞城 百華 津田塾大学, 国際関係研究所, 研究員 (30459309)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | エリトリア / エチオピア / アフリカ史 / 国際関係学 / 国家と民族 / 境界 / 脱植民地化 / 国際政治 |
Research Abstract |
5月~7月にかけて研究計画の精査を行うために文献渉猟ならびに文献分析を進めた。8月にはエリトリアで3週間の調査を行った。エリトリアの歴史文書の公開は非常に限定されているが、エリトリア・リサーチ・ドキュメントセンターにおいて調査許可を得ることができた。エリトリア連邦制時代の議会史料ならびに内政史料を閲覧し、分析を行うことが可能となった。従来のエリトリア史の研究では、国際社会やエチオピアの介入が主眼となってきたが、エリトリア自治政府の内政史料により対外要因に翻弄される内政の実態を詳らかにする可能性が開けた。またPavoni図書館において絶版となっているエリトリア史ならびに国連関係の史料も集約的に渉猟した。 秋季は夏の調査で渉猟した文献や史料を用いた分析を進め、一部の成果を研究会において公表し、今後の研究に向けた建設的な議論を行った。春の調査に向けての研究計画の再考も行った。2月にはエリトリアに関する史料を保存するイギリスのナショナルアーカイブを訪問し、2週間の調査を行った。連邦制に先立つイギリス軍政時代ならびにエリトリア連邦制期についてもイギリスの視点に立脚した史料は、エリトリア史の理解には不可欠なものである。3月には2週間エリトリアを再訪した。8月の調査では史料の複写が禁じられていたために利用に制限があったが、3月の訪問時に上記センターと折衝を行い、調査助手の雇用と史料利用について合意を結び、来年度の調査に向けて研究環境を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エリトリアにおける史料利用について、夏期の調査では史料の複写が許可されていないため史料の複写は手書きに限定された。そのため予想以上に史料利用が制限された。文献渉猟ではエリトリアPavoniLibraryの利用が可能となり、絶版の文献や資料を集約的に渉猟することが可能となり今後の研究指針の再考に役立った。 夏期の史料調査の反省を受けて、2月から3月にかけて、イギリス公文書館における集中的な史料収集を行った。また3月にエリトリアを再訪し、史料館と折衝を行い調査助手の雇用の道が開けたために2012年度はエリトリア史料利用が格段に広がる。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度の研究成果を受けて、本年度は一部の研究成果の公表を進めつつ、さらに史料の渉猟ならびに分析を進める予定である。5月には日本アフリカ学会で、また6月には世界政治研究会において研究成果の公表を行う。これらの発表において得た議論やコメントは今後の研究でも有益なものとなる。 2011年度はエリトリアにおける調査助手と連携をとり、史料の所在確認と渉猟を行うことが可能となった。調査ができない期間にも史料確認ができることで研究の精度をさらに上げることが可能となる。8月には調査助手との話し合いならびに今後の研究計画の精査、また文書の確認を行うためにエリトリアを再訪する予定である。 エリトリアに関する史料が国外に流出また所蔵されているため研究の進め方、史料の確認を行ったうえで、イギリス、イタリア、エチオピアなどに史料渉猟のために訪問することも計画している。 本年度後期には、来年度最終年度の研究成果とりまとめに向けて紀要などに論文として成果の公表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費では本年度も海外調査の費用が最も多額となる。夏のエリトリア調査に加え、イギリス、イタリア、エチオピアなどへ調査する必要もある。 本年度よりエリトリアにおいて調査助手を雇用することとなった。調査助手の雇用により、エリトリア海外調査の期間を大幅に縮減することができ、また調査以外の時期にも継続して研究を行うことが可能となる。昨年度よりも謝金の割合が増えると考えられる。 物品費も主に文献の購入に充てる予定であるが昨年度と同程度になると考えられる。
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