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2011 Fiscal Year Research-status Report

マレーシア、サラワク州における在地の社会関係と観光開発に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23710308
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

市川 哲  立教大学, 観光学部, 助教 (40435540)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords文化人類学 / マレーシア / サラワク州 / 観光開発 / 民族間関係 / 商品連鎖 / 接合
Research Abstract

2011年度は日本国内での研究活動とおよびマレーシアでの現地調査を行った。日本での研究活動は主に関東および関西での大学や研究機関での資料収集や他の研究者との研究交流、学会や研究会での研究成果の中間発表、学術論文の執筆である。特にマレーシアを中心とする東南アジア各地の観光人類学的な研究成果の収集と整理を行い、それを踏まえサラワク州の在地の社会関係に観光開発がいかにして接合されたのかを理解することを試みた。そのためにサラワク州をはじめとするマレーシア各地の複数の民族集団や地域集団相互の経済活動や通婚、養子慣行といった相互関係に関する先行研究を検討し、比較的伝統的な在地の社会関係のパターンの理解を試みた。またマレーシアでの現地調査では、首都クアラルンプールの大学や研究所、サラワクの州都クチンの大学や博物館、関連する行政機関を訪問し、現地の研究者との研究交流や統計資料、報告書等を入手した。また州都クチンおよびその周辺地域、ビントゥル省、カピット省、ミリ省の都市部および内陸部で主に華人と先住民との相互関係に焦点を当てたフィールドワークを行った。これらのフィールドでは複数の民族集団や地域集団が、伝統的な河川での移動手段が陸路に変更したことや、1970年代以降の森林伐採の隆盛や近年のアブラヤシ・プランテーションの流行により、社会経済的な活動様式が変化し、それにより相互の社会関係も変容を遂げていること、またそれが外部社会からの観光客の訪問パターンや、手工芸品等の制作や販売にも影響を与えていることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2011年度は主に日本国内および国外での文献資料収集と先行研究の整理、国外でのフィールドワーク、および研究成果の中間報告を行った。文献資料収集と先行研究の整理に関しては国内では基本的な作業を行っているが、現地の文献資料や統計資料は引き続き収集・整理を行う必要がある。また特に一次資料の収集と整理に関しては最終年度まで継続する必要があるため今後も行う予定である。またフィールドワークに関しては、当初予定していた調査協力者から調査に協力してもらうことに関する同意を得た。またこれまで断続的に訪問してきた調査地で今後も調査できることが明らかになった。これ以外にも、新たにビントゥル省やカピット省で新たに先住民と華人との相互関係に関する調査や、手工芸品の作成や販売に携わる人々を対象とした調査、州都クチンでの手工芸品やツバメの巣に代表される森林産物や漢方薬等の取引や販売の調査を開始した。また当初はサラワク域内の在地の民族間関係や地域社会間関係に外部社会起源の観光がいかにして接合されるかの研究を計画していたが、本年度の調査の結果、森林産物や手工芸品がサラワク域外、特に半島部マレーシアやシンガポール、香港、中国といった東・東南アジアの他地域にももたらされ、それが無視できない状況となっていることが明らかになったため、商品連鎖網と言う観点を導入することにより研究計画を若干修正する必要が生じた。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の方向性及び計画としては、2011年度に引き続き日本国内および国外での文献資料や統計資料等、一次資料と二次資料の収集とその整理、国外での文化人類学的なフィールドワークの実施、それらの調査によって得られたデータの整理、研究成果の中間報告を予定している。文献資料及び統計資料は引き続き国内外の研究機関及び行政機関で収集するが、今年度は特に観光開発関係の統計資料や政府報告関係の資料の収集を予定している。またマレーシアでは2000年代からツバメの巣に代表される特産品が域外にももたらされるようになり、それに伴いサラワク域内の経済活動や、伝統的な民族間の生業の分業や社会関係、経済関係にも多大な影響を与えている。そのため今後は当初の計画通りサラワク域内でのフィールドワークを行うと同時に、サラワクの地域住民が域外といかなる関係を取り結んでいるのかを視野に入れた調査活動を計画している。また研究成果の中間報告に関しては、日本文化人類学会およびBorneo Research Councilでの研究発表や学術論文の執筆を予定している。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年次の研究費の使用計画として、日本国内の研究機関を訪問し資料収集をするための国内旅費、調査地であるマレーシアでの研究活動のための海外調査費、文献資料や映像資料、調査機材の購入費、調査データの整理補助のための人件費、英語論文や中国語論文執筆の際のネイティブ・チェックのための費用を計画している。特に調査費に関しては、通常の宿泊施設や公共交通機関がない内陸部や河川上流域での調査が必要とされるため、4WD車やモーターボートのチャーター費や現地の住民の住居で居住する際の謝金が必要である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2012 2011

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 移住経験が生み出すコミュニティ、移住経験が変容させるアソシエーション2012

    • Author(s)
      市川哲
    • Journal Title

      平井京之介編著『実践としてのコミュニティ―移動・国家・運動』

      Volume: 京都大学学術出版会 Pages: 99-124.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] A Report on the Joint Research in Sarawak: The possibilities for the Study of the Ethnic Chinese with the Researchers and Scholars of Different Fields.2012

    • Author(s)
      ICHIKAWA Tetsu
    • Journal Title

      Equatorial Biomass Society

      Volume: 2 2:5-8 Pages: 5-8.

  • [Journal Article] 「帰郷から観光へ―パプアニューギニア華人の訪中経験の変容過程」2011

    • Author(s)
      市川哲
    • Journal Title

      Journal of Asian studies for intellectual collaboration

      Volume: 1 Pages: 148-161.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Ancestors’ House, Parents’ Cemetery and My Home:Multiple Localization of Papua New Guinean Chinese2011

    • Author(s)
      ICHIKAWA Tetsu
    • Organizer
      International conference of the International Society for Studying Chinese Overseas
    • Place of Presentation
      The Chinese University of Hong Kong, Hong Kong
    • Year and Date
      21st June 2011
  • [Presentation] 祖先の故郷、生まれの故郷―オーストラリア在住パプアニューギニア華人にとっての帰還経験―2011

    • Author(s)
      市川哲
    • Organizer
      第45回日本文化人類学会研究大会
    • Place of Presentation
      法政大学
    • Year and Date
      2011年6月11日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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