2015 Fiscal Year Annual Research Report
チャム系住民とイスラームの関係に関する地域間比較研究
Project/Area Number |
23710314
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
吉本 康子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 研究員 (50535789)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | チャム / チャンパ / 移民 / イスラーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ベトナム中部から海南島、カンボジア、タイ、マレーシア、そしてアメリカ西海岸などに移住し、ムスリムとして暮らすチャム系の人々のイスラーム的宗教実践を比較検討することで、イスラームの要素とローカルな要素の交渉過程の多様性および宗教とエスニシティの関係について検証することを目的に進められた。 研究の方法としては、国内外における文献調査及びチャム系ムスリム居住地域における聞き取りや参与観察など含む現地調査を採用し、平成23年度はベトナムおよびアメリカ西海岸、平成24年度はベトナムおよびカンボジアにおいて文献調査および現地調査を行った。また、研究の中断期間を含む平成25年および平成26年は主に文献調査を行い、それまでに収集した資史料のうち「クルアーン」と関連するチャムの伝統文書など、写本を含む宗教的知識の伝承の媒体の整理と分析をすすめた。 最終年度に当たる平成27年度は、前年度までの現地調査で得た史資料の分析を継続して行い、その成果を「チャムバニはムスリムか?-『ベトナムのムスリム』と多配列クラス」として公表した。また、出産・育児による研究の中断によって延期していた現地調査を再開し、中国・海南島三亜市、ベトナム、タイ・バンコク、マレーシア、シンガポールにおいて、チャム系ムスリムの居住地域での参与観察や聞き取り、関連諸機関での文献調査を行い、資史料を補足した。それらの資史料を含めたデータの分析は今後も継続して行い、東南アジア大陸部におけるイスラーム的宗教実践についての新資料およびそれらに基づく宗教とエスニシティについての研究を公開していく予定である。
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