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2012 Fiscal Year Research-status Report

アメリカ占領下の日本における「女性解放」政策と性・生殖のコントロール

Research Project

Project/Area Number 23710322
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

豊田 真穂  関西大学, 文学部, 准教授 (20434821)

Keywordsジェンダー / アメリカ / 日本占領 / 女性解放 / 社会政策 / リプロダクティブ・ライツ / 家族
Research Abstract

本研究の目的は、性や生殖のコントロールに焦点を当てることで、アメリカ占領下の日本における「女性解放」政策の歴史的意義を再評価することにある。今年度は、特に国家が直接的に性と生殖をコントロールした「断種/不妊手術」を事例にして、日本政府とアメリカ占領軍とが、最も抑圧された人びとのリプロダクティブ・ライツをどのように考えていたかを明らかにする研究を進めた。その際、特にハンセン病患者に対して実施された手術に注目したが、これは戦前のアメリカ国内で行われた断種/不妊手術の技術を日本に導入したものであり、ナチ・ドイツからの影響だけでなくアメリカの優生政策の影響を示唆するものである。つまり、戦前から優生運動の世界的な中心にいたアメリカと、その優生政策に影響を受けた戦時下からの日本の流れが占領下で結びついたことを明らかにした。
また、GHQ/SCAPの人口問題顧問であったWarren Thompsonが提唱する人口政策とGHQ/SCAPによる政策との関係をさぐるため、Thompsonのもとで人口問題を学んだFrank Notesteinの個人文書を調査した。本文書には、のちに日本の人口問題に関する著作を多数出版するIrene B. Taeuberの文書も含まれており、GHQ/SCAPに助言を与えたアメリカ人人口学者たちの思想の一端を明らかにすることができた。
今後は、優生学とジェンダーがどのように絡み合うのかを、「家族」の形成という視点から考察し、占領期を戦前からの日米両国の流れの接合点と位置づけることが課題となる。そのために、日米の国内における断種/不妊手術の対象者の選定に関する研究史をまとめ、それらと占領期の政策との関係を明らかにする作業を続けたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、計画していたNotestein文書およびSams文書の調査を行うことができ、相当の成果を得ることができた。しかし収集してきた資料が膨大な量に及んだため、資料整理およびその読み込みがいまだ完了していない。また計画していたインタビューは、対象者の逝去に伴って不可能となった。しかしながら、断種/不妊手術に焦点をあてた事例研究を行ったことによって、「親」となる資格はどのようなものかを明確化する本研究の目的に合致した研究を進めることができた。

Strategy for Future Research Activity

Notestein PapersおよびSams Papersの資料整理および資料の読み込みを引き続き継続し、占領政策に影響を与えたアメリカ人たちの思想的背景をさぐる作業を行う。断種/不妊手術についても、ジェンダーの視点を取り入れて検討を続けていくと同時に、ハンセン病患者に限らずその他の対象者に関する政策も同時にみていく。最終的には、占領下のリプロダクティブ・ライツをめぐる論争を日米のバースコントロール運動史および優生運動史の中に位置づけることによって、占領下でどのような「家族」像が規定されていったのかを明らかにする。そして占領下における「女性解放」政策をより多角的・立体的・総合的に評価したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

今年度は、計画していたインタビューが対象者の逝去に伴って実施不可能となったため、その分の出張旅費が支出できなかった。次年度は、アメリカ国内でバースコントロール運動をすすめた個人や、優生学発展と人口学推進のために多額の寄付を行った財団(ロックフェラーやフォードなど)に注目して、彼らが日本のバースコントロール運動にどのような影響を与えたかを明らかにする。また、研究成果を著書にまとめる作業をすすめたい。その際には、資料整理や専門的知識の提供などを依頼する計画である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] Book Review: Ruth Barraclough and Elyssa Faison, eds, Gender and Labour in Korea and Japan: Sexing class.2013

    • Author(s)
      Maho Toyoda
    • Journal Title

      Asian Studies Review

      Volume: Vol.37, Issue 2 Pages: 印刷中

  • [Journal Article] アメリカ占領下の日本における生殖の管理-優生保護法の不妊手術/断種2013

    • Author(s)
      豊田真穂
    • Journal Title

      アメリカ史研究

      Volume: 第36号 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Information, Re-education and Re-orientation Policies in the US Occupation of Japan2012

    • Author(s)
      Maho Toyoda
    • Journal Title

      Social Science Japan Journal

      Volume: Vol. 15, No.2 Pages: pp.255-260

    • DOI

      10.1093/ssjj/jyr054

  • [Journal Article] American Fears in Post-war Japan: Motivations behind Suspending and Promoting Birth Control2012

    • Author(s)
      Maho Toyoda
    • Journal Title

      Synaesthesia Journal

      Volume: Vol.1 No.3 Pages: pp.91-99

  • [Journal Article] 日本のウーマンリブと「女のからだ」2012

    • Author(s)
      豊田真穂
    • Journal Title

      油井大三郎編『1960年代の米国における社会運動の越境―日本と西欧との比較』

      Volume: 彩流社 Pages: 214-237頁

  • [Presentation] アメリカ占領下の日本におけるリプロダクティブ・ライツと人口政策

    • Author(s)
      豊田真穂
    • Organizer
      大阪大学アメリカ研究会
    • Place of Presentation
      大阪大学箕面キャンパス
    • Invited
  • [Remarks] 学術情報システム

    • URL

      http://gakujo.kansai-u.ac.jp/profile/ja/0ba68717aff80301a58em98ef16Lh.html

  • [Remarks] 豊田真穂研究室

    • URL

      http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~maho/HP-kenkyu1.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

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