2014 Fiscal Year Research-status Report
生物学・心理学がベルクソン哲学に与えた影響に関する文献的・実証的研究
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23720013
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
三宅 岳史 香川大学, 教育学部, 准教授 (10599244)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 西洋哲学史 / 進化論史 / 獲得形質の遺伝 / 失語症 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は研究計画の4年間のうち3年目(平成25年度)に研究する内容であった『意識の直接与件に関する試論』第1章と第2章の感覚量の問題に関して、The 2nd International Deleuze Studies in Asia Conferenceで "Historical Investigation of the concept "Multiplicite (Mannigfaltigkeit)"― Riemann, Bergson, Deleuze ―"と題して英語で発表を行った。ベルクソン哲学の当時、感覚量をめぐる哲学的・科学的背景に光を当て、とくにリーマン幾何学の思想的背景と感覚量の関係、リーマンが影響を受けたヘルバルト心理学、そしてヴェーバーとの人脈的な背景を踏まえたのちに、それに対する時代的な批判とベルクソンの立ち位置などを明らかにした。この研究に関しては、分量が多くなってしまったので、適切な量にしつつ、学会誌等に投稿予定である。 また、研究1年目(平成23年度)に研究し、すでに日仏哲学会に昨年度(平成25年度)に発表した「ベルクソンとドリーシュの目的性概念」については内容を洗練させて論文にして、『フランス哲学・思想研究』に投稿を終えている。現在は審査待ちである。 本来であるならば、平成26年度が研究の最終年であったため、本年度に研究全体の報告書を作成する予定であったが、研究期間の延長を申請して認められたため、平成27年度に報告書を作成予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来ならば、今年度が研究最終年度であったが、研究2年目のヴァイスマンや新ラマルク派の獲得形質の遺伝論争については、予想していたよりも資料の量が多く、また最近はベルクソンのテキスト研究の注釈など新しい二次文献も出ている。それらを踏まえて研究をしなければならないため、研究の進捗状況に遅れが出てしまった。現在で予定していた文献の半分まで読み進めた状況であるが、論争の思想的・科学的文脈や文献で挙げられている著者の立場や、それらの対立状況などはかなり把握が進んだ。 すでに、1年目と3年目の研究はほとんど完了し、また2年目の研究についてはある程度の目途がついてきたものの、4年目に研究する予定であった失語症研究についてはまだ資料を集めた状況であって、内容の研究にはほとんど着手できていない。 このように進度が思わしくなかったため、研究の延長を申請した。申請は認められ、1年間延長となったが、上述のように研究の分量としてはあと1年と半年分残っているので、現在までの達成度を(3)の「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究延長の申請が認められたため、残りの1年間に関しては、まずは現在取り組んでいる2年目の獲得形質の遺伝論争に関する研究をあと2~3か月で完成させる予定である。 また残りの半年間で、3年目にフランス国立図書館で資料を収集済みであり、4年目に研究予定であった『物質と記憶』第2章の大脳局在説と失語症の科学史・哲学史的背景に関する研究についてまとめる。ただし、『物質と記憶』第2章の文献は膨大であり、またテクストの内容も入り組んでいるため、これについては最も重要な論点を精選して研究を実施する。 獲得形質の遺伝論争に関する研究については本年度後半の研究会や学会などで発表し、後者についても間に合えば研究会や紀要などで発表する。もしそれらに間に合わなかったとしても、本研究全体の報告書の中にその研究内容を掲載することにしたい。
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Causes of Carryover |
全体で4年間の研究計画であったが、現在の研究進捗度はそのうち2年半ほど完了しており、残り1年半ほどが残っている。その理由としては、予想していたよりも文献の量が多く、また議論も入り組んでいたので、研究の論題を整理するのに時間がかかったことと、また新たな二次資料も出てきているため、それらを考慮に入れて研究を進める必要が出てきたことである。 このように研究に遅れが生じたため、その成果を発表するための研究会や学会への出張旅費やまた4か年の研究をまとめた報告書制作費の予算が主に未使用となり、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残り1年半の研究を今後は集中的に進め、何度かに分けて研究会や学会、紀要論文などで研究成果の発表を行う。このために、2,3回分の出張費が必要となる。 また当初予定より、4年間の研究成果をまとめた報告書を作成予定であり、それらの印刷・製本などで助成金を使用する予定である。 残りの研究費に関しては、3年目の研究で発表した英語原稿を校正したり、プリンターのトナーなどの消耗品に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)