2013 Fiscal Year Annual Research Report
二状態ベクトル形式による新しい量子力学の解釈の提案と因果概念及び時間概念の分析
Project/Area Number |
23720017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森田 邦久 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (80528208)
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Keywords | アインシュタインのジレンマ / 非局所性 / 量子力学の不完全性 |
Research Abstract |
量子力学の二状態ベクトル形式を用いた新しい解釈によって「アインシュタインのジレンマ」と呼ばれる問題が解決できることを示した。アインシュタインのジレンマとは、「量子力学は不完全か、非局所的かのいずれかである」というものである。従来の考えかたでは、標準的な解釈としては「非局所性」を選択しており、隠れた変数理論では「不完全生」をとっていた。しかし、新しい解釈では、「量子力学は完全であり、かつ局所的である」と言えることを示した。すなわち、従来の一状態ではなく、二状態を考えることにより、非局所性を避けることができるが、量子力学の体系そのものを変更しているわけではないので、何らかの隠れた変数を導入しているわけではない。それゆえ、本解釈により、量子力学は完全であるとみなすことができながら、非局所性も避けることができるのである。本研究成果は、現在、International Studies in Philosophy of Scienceに投稿し、現在、査読中である。 また、本プロジェクトとそれに関連した研究の成果(新しい解釈の提示、それによる観測問題の解決、アインシュタインのジレンマの解決;アインシュタインが量子力学の発展に果たした、特に哲学的な側面における意義など)は、『アインシュタインvs.量子力学(仮題)』という本にまとめ、化学同人から26年秋頃に出版予定である。すでに草稿は完成しており、他の専門家に下読みをしてもらっている段階である。
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