2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720023
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
竹元 規人 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80452704)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 中国哲学 / 『古史辨』 / 疑古 / 顧頡剛 / 劉起[金于] / 『尚書』 / 史学史 / 上古史 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究成果についての発表として、論文を1本公刊した。平成24年度以来の関心として、近代中国の疑古派が打ち出した学説と日本の学術動向との関係という問題があり、崔述に関しても、中国に先行して20世紀初頭の日本で崔述が新たに注目を集めていた。公刊した論文では、『顧頡剛全集』で初めて全貌が明らかになった顧の『清代著述考』が依拠した文献を探ることで、顧の崔述に関する知識が清末国粋派の劉師培に由来し、劉の「崔述伝」では確かに那珂通世による『崔東壁遺書』校点に言及しているものの、顧にとってその事実はあまり注意を引かなかった、ということを論じた。 今年度の研究課題としては、顧頡剛の古史研究の集大成と言うべき『尚書』研究について跡づけ、考察した。平成23年度の研究において明らかにしたように、顧は当初『詩経』を重視するところから古史論を始めたが、1920年代後半にかけてまとまった上古史文献として『尚書』研究に傾注していった。1950年代以降は訳注作成に取り組み、1960年代以降は劉起[金于]と共に研究を進めた。今文『尚書』の訳注は1999年に劉起[金于]によって完成され、2005年に『尚書校釈訳論』として刊行された。今年度の研究では、顧頡剛と劉起[金于]の『尚書』研究の継承関係や異同についても考察した。 平成23年度以来の研究の意義・重要性は、以下の点にまとめられると考えている。(1)新たに刊行された『顧頡剛全集』を活用して、従来研究が及ばなかった問題を解明したこと、(2)顧頡剛の疑古学説の成り立ちと同時代日本の学術動向に関して、具体的な考察を行ったこと、(3)以上から、顧の学説に関する発展的な理解が得られたこと。 今後はまず成果発表を進めつつ、主には顧と崔述との関わりという問題から発展させて、清代から近代に至る学術展開過程につき再検討を加えていきたいと考えている。
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