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2012 Fiscal Year Research-status Report

古代インドにおける受戒儀礼に関する基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 23720026
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

生野 昌範  大阪大学, 文学研究科, 助教 (60512928)

Keywords仏教 / 律 / 受戒儀礼 / ギルギット / 写本 / テキスト校訂
Research Abstract

本研究は、仏教の受戒儀礼(志願者を仏教の出家者として承認し、仏教教団に入団させる儀礼)に関するテキストを写本から再校訂することにより現行のテキストの不備を補完するととともに、テキストを正確に読解することにより古代インドにおける受戒儀礼の実像を構築することを目的とする。
当該年度は、前年度においてそれぞれ個別に読解した二つの文献(『カルマヴァーチャナー』と『ウパサムパダー・ジュニャプティ』)を比較検討して男性の志願者のための受戒儀礼を総合的に考察した。さらに、女性の志願者のための受戒儀礼に関して記述している『ビクシュニー・カルマヴァーチャナー』を読解し、女性の志願者のための受戒儀礼に関する内容の考察を行なった。これにより、次年度に行なう男性の志願者のための受戒儀礼と女性の志願者のための受戒儀礼とを総合的に比較検討することのための基礎を確立した。さらに、前年度に三つの写本資料を用いて暫定的に作成した『カルマヴァーチャナー』の再校訂テキストに関しても継続して検討を行なうとともに、2012年8月にドイツのゲッティンゲンにおいて研究の枠組みや研究方法に関して K. Wille 博士と協議を行なった。これは、国内外の研究者が今後利用するに価する新たな基礎的資料を確立すること、および写本研究の進展に寄与することという意義を有する。
以上の通り、当該年度は『カルマヴァーチャナー』と『ウパサムパダー・ジュニャプティ』の記述に基づいて男性の志願者のための受戒儀礼に関する総合的な考察を行なうとともに、『ビクシュニー・カルマヴァーチャナー』を読解し、女性の志願者のための受戒儀礼に関して考察を行なった。また、本研究の柱の一つである写本に基づく正確な基礎的資料の確立に向けて、前年度に引き続いて検討を行なった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は、古代インド仏教の受戒儀礼を研究対象として、文献学的アプローチに基づき儀礼の式次第、儀礼を行なうのに必要な参加メンバー、儀礼を受けることのできる志願者と儀礼を受けることのできない志願者の条件などを考察することにより古代インドにおける受戒儀礼の実像を構築することである。
当該年度は、当初の予定通り、二つの文献(『カルマヴァーチャナー』と『ウパサムパダー・ジュニャプティ』)に基づいて男性の志願者のための受戒儀礼の総合的な考察を行なうとともに、女性の志願者のための受戒儀礼を記述している『ビクシュニー・カルマヴァーチャナー』を読解し、女性の志願者のための受戒儀礼に関する内容の考察を行なった。また、前年度に暫定的に作成した『カルマヴァーチャナー』の再校訂テキストに関しても継続して検討を行なった。その際、国外の研究者からの助言を受けることにより、写本に基づいたテキストの作成に向けた研究をより確度の高いものにするべく努めた。
以上のように、当該年度は当初の予定通りに研究を行ない、次年度に行なう男性の志願者のための受戒儀礼と女性の志願者のための受戒儀礼との総合的な比較検討を行なうことへの基礎を確立することを達成し、写本に基づいた正確な基礎的資料の確立に向けて順調に研究を行なったので、おおむね順調に進展していると評価する。

Strategy for Future Research Activity

『カルマヴァーチャナー』と『ウパサムパダー・ジュニャプティ』に基づいて総合的に検討した男性の志願者のための受戒儀礼と、『ビクシュニー・カルマヴァーチャナー』に記述されている女性の志願者のための受戒儀礼とに関して、併せて包括的・総合的な検討を行なう。その際に、男性の志願者のための受戒儀礼と女性の志願者のための受戒儀礼との共通点・相違点には十分に注意を払いつつ考察を行なうが、相違点に関しては男性と女性との性差がかかわることが十分予想されうるし、また仏教における女性観を反映する可能性も十分に考えられうる。なお、本研究の柱の一つである『カルマヴァーチャナー』の再校訂テキストに関しては引き続き検討を行ない、推敲を重ねる。
以上の通り、写本に基づいた『カルマヴァーチャナー』の基礎的資料を確立するとともに、古代インドにおける受戒儀礼の式次第、志願者に求められる仏教の出家者としてのあるべき姿、受容される志願者と受容されない志願者の条件などを手掛かりとして仏教の社会に対する関わり方などを検討しつつ、男性の志願者のための受戒儀礼と女性の志願者のための受戒儀礼を総合的に考察し、古代インドにおける受戒儀礼の実像を構築する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究を進めて行く上で必要に応じて研究費を執行したために当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費の未使用額も含めて、当初に予定していた通りの計画を進めていく。
具体的には、暫定版として作成し終えている『カルマヴァーチャナー』の再校訂テキストをより正確なものにするために、ドイツのゲッティンゲンに滞在し、写本研究の第一人者であるゲッティンゲン大学の Klaus Wille 博士と協議を行なうための旅費・滞在費として研究費を使用する。また、Wille 博士をはじめとした研究者から専門的知識の提供を受けるための費用を謝金として使用する。さらに、ブラーフミー文字写本関係の図書、及びインド仏教関係の図書を、必要に応じて随時購入するための設備備品費として研究費を使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Vinayavibhangaの新出焚文写本断簡2012

    • Author(s)
      生野 昌範
    • Journal Title

      印度学佛教学研究

      Volume: 61巻 Pages: 328-324

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Vinayavibhanga の新出サンスクリット語写本断簡

    • Author(s)
      生野 昌範
    • Organizer
      日本印度学仏教学会
    • Place of Presentation
      鶴見大学(神奈川県)
  • [Presentation] 律関係の新出サンスクリット語写本―スコイエン・コレクションとアメリカ合衆国ヴァージニア州の個人コレクション―

    • Author(s)
      生野 昌範
    • Organizer
      セミナー:仏教文献の翻訳と流通
    • Place of Presentation
      金剛大学(大韓民国)
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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