2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生野 昌範 大阪大学, 文学研究科, 研究員 (60512928)
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Keywords | 仏教 / 律 / 受戒儀礼 / ギルギット / 写本 / テキスト校訂 |
Research Abstract |
本研究は、仏教の受戒儀礼(志願者を仏教の出家者として承認し、仏教教団に入団させる儀礼)に関するテキストを写本から再校訂することにより現行のテキストの不備を補完するととともに、テキストを正確に読解することにより古代インドにおける受戒儀礼の実像を構築することを目的とする。 男性の志願者のための受戒儀礼を記述している文献(『カルマヴァーチャナー』と『ウパサムパダー・ジュニャプティ』)と女性の志願者のための受戒儀礼を記述している文献(『ビクシュニー・カルマヴァーチャナー』)を比較検討して、受戒儀礼を総合的に考察した。その際、男性の志願者のための受戒儀礼と女性の志願者のための受戒儀礼との相違点に関しても十分に注意を払いつつ考察を行なった。さらに、これら三つの文献の考察と並行して、『カルマヴァーチャナー』のテキストの再校訂に関しても継続して検討を行なった。その際、上記の『カルマヴァーチャナー』以外の二つの文献を併せて検討することによって、『カルマヴァーチャナー』のテキストそのものもより正確に理解することができるようになった。 最新の写本研究の成果を取り入れてより正確な再校訂テキストを作成するために、2013年8月8日~19日と2014年1月20日~30日にドイツのゲッティンゲンを訪れ、『カルマヴァーチャナー』の再校訂テキストに関してK. Wille 博士と協議を行なった。また、2013年9月25日~27日に第32回 Deutscher Orientalistentag に出席して、ドイツにおける仏教研究に関する最新の情報を入手すると同時に、ドイツにおける研究者との学術的対話・交流を行なった。 以上の通り、『カルマヴァーチャナー』と『ウパサムパダー・ジュニャプティ』、並びに『ビクシュニー・カルマヴァーチャナー』を読解し、比較検討することによって、受戒儀礼に関する総合的な考察を行なった。
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