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2012 Fiscal Year Research-status Report

古写経を用いた『三法度論』の基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 23720027
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

林寺 正俊  北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60449361)

Keywords仏教学 / 古写経 / 『三法度論』 / 『四阿含暮抄解』 / 悪品 / ヴァスバドラ
Research Abstract

本研究は、近年の古写一切経調査により従来の諸版本とは異なることが判明し、しかもより本来的な形態を留めている可能性が高いと推定される新出の古写経善本を用いることによって、インド仏教の有力な部派でありながらその全容があまりよく知られていない犢子部(とくしぶ)の伝えた『三法度論』の本文テキストを確定するとともに、異訳の『四阿含暮抄解』と対比しながら内容を正確に読解することによって、本書に説かれる教理ならびに犢子部の思想を明らかにすることを目的としている。
本書は、インド語原典もチベット訳もなく、二種の古い漢訳でのみ伝わり、内容的に難解な教義学的議論も含んでいる。かかる本書の性質に鑑みて、当該課題研究期間の初年度に当たる平成23年度は全3章から成る『三法度論』のうちの第1章を中心に考察したが、第2年目の平成24年度は第2章「悪品」に焦点を当てて、以下の作業を行なった。
(1)従来の諸版本では明瞭に区別されていない、ヴァスバドラ自身の手になる経とそれに対する注釈文とを、古写経に基づいて峻別し、また諸本の校異をとって、「悪品」のテキストを確定した。
(2)テキストの確定作業と並行して、登場する仏教術語の原語を可能な限り推定しながら、また『四阿含暮抄解』の対応部分を参照しながら、「悪品」の読解を進めた。
(3)「悪品」に説かれる、悪行、愛、無明などの教理について、他部派の文献における扱い方と比較検討することによってその特色を明らかにしようと試みた。ただし、まだ完全な解明には至っていない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は『三法度論』の第2章「悪品」に焦点を当てるとした当初の計画通りに進んでいる。ただし、「悪品」に説かれる教理の特色については、検討を試みてはいるものの、まだ充分な解明には至っていない。この点については、他の章品の読解や他の論書などとの比較が進むことによって、進展するものと期待される。

Strategy for Future Research Activity

当初の計画通りに進める。すなわち、第3年目は『三法度論』の第3章「依品」について、(1)古写経に拠りながら校異を取りつつテキストを確定し、(2) 異訳の『四阿含暮抄解』と対照しながら内容の正確な読解を進め、(3)本書に説かれる教理の思想的特色や独自性の検討を行なう。そして、最終年度には『三法度論』について総合的な検討を行なう。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費では、主に部派仏教関係・古写経関係の図書を購入する。消耗品費では、必要なコンピュータ用品・用紙・記録媒体を購入する。旅費は、研究成果の発表のための出張と、古写経を実見する必要性が出た場合の現地調査に使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 「日本古写経データベースの構築とその意義」2012

    • Author(s)
      林寺 正俊
    • Journal Title

      『人文科学とコンピュータシンポジウム論文集』

      Volume: 2012年巻第7号 Pages: 11-16頁

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 「日本古写経データベースの構築とその意義」

    • Author(s)
      林寺 正俊
    • Organizer
      人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2012)
    • Place of Presentation
      北海道大学(札幌市)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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