2012 Fiscal Year Annual Research Report
「日本道観」研究―現代日本文化における道教の受容について―
Project/Area Number |
23720035
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
長澤 志穂 南山大学, 南山宗教文化研究所, 研究員 (90535329)
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Keywords | 道教 / 中国宗教 / 国際情報交換 / 台湾 / 日本道観 |
Research Abstract |
平成24年度においては、前年度に引き続き道教の現代日本における在り方と受容に関する事例を調査し、データを収集した。主な事例として取り上げたのは「日本道観」である。収集した団体の刊行物や活動に関する情報を整理・分析し、その傾向についてまとめた。またそれ以外に、道教関連の一般書をも収集し、整理・分析した。 また、現代日本における道教受容が、伝統的中華社会における道教受容と比べてどのような特徴をもつのかを明らかにするための比較研究も、前年度に続いて行った。一つには、中国における道教的修養の歴史的・文献的研究を行い、近代化する前の中国と現代日本とにおける道教実践の意図や方法論を比較した。もう一つには、現代においても道教的伝統が保持されている台湾においてフィールドワークを行い、台湾の宗教者や宗教研究者の発言を取り入れながら、現代人が道教に何を求め、どこに魅力を感じ、どのように関わっているかについて、日台の比較を行った。 これらの研究によって、台湾民衆における道教への関心が葬儀や死者救済など祖霊への関心を中心とするのに対し、現代日本における道教への一般民衆の関心は個人の健康や修養、癒しを中心とすることが明らかになってきた。また一方で、必ずしも道教徒でない者が個人的修養の方途として道教に関心を持つという状況は、実は中国伝統文化に見られた現象でもあった。現代日本における道教から東アジアの伝統文化としての道教を逆照射する視点は従来見られなかったものであり、本研究の成果であるといえる。
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