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2011 Fiscal Year Research-status Report

ヨーロッパ、ネイション、文明――思想史的アプローチによる

Research Project

Project/Area Number 23720039
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

片岡 大右  東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (30600225)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsヨーロッパ / ジョゼフ・ド・メーストル / 自然法 / C・L・R・ジェイムズ / エリック・ウィリアムズ / 文明
Research Abstract

主として16世紀および17世紀を対象とし、関連する一次・二次文献の渉猟に努めた。とりわけ注目したのは、ライプニッツの思想である。この「万学の天才」が同時代の政治状況に向けたまなざしのうちには、本研究が相手どる三つの理念すべてとの関係で重要なモチーフがいくつも見いだせるからである。博士論文の改稿作業を行い、『隠遁者、野生人、蛮人――反文明的形象の系譜と近代』として刊行した(2012年3月、知泉書館)。全編を通し、本研究との関係において重要な業績である。日本フランス語フランス文学会春季大会にて、以下の学会発表を行った――「ジョゼフ・ド・メーストルにおける自然法・野生性・ヨーロッパ」(一橋大学、2011年5月28日)。「『人間』など見たことがない」との断言にもかかわらず、メーストルは実際には、トマス的な自然法論の受容を通し、まさに「人間」および「文明」の普遍性を前提としていた。その事実を踏まえ、本発表では彼の革命論の再検討がなされた。とりわけ、彼がヨーロッパ諸国民を、建国者である北方の蛮人たちの気質との関係でいかに理解していたのか、この点が強調された。以下の論文を執筆した――「革命家と首相の見たアフリカとカリブ海域――C・L・R・ジェイムズ『ブラック・ジャコバン』とエリック・ウィリアムズ『コロンブスからカストロまで』を中心に」(三宅芳夫編『移動と革命』、論創社、近刊)。トリニダード・トバゴの独立運動を主導し、長く首相を務めたウィリアムズは、ヨーロッパとカリブ海域の歴史的関係を考える上では欠かせない業績を残した歴史家であり、同島出身の革命家ジェイムズは、例えばトリニダードにおける民主主義の確立を古代ギリシアの民主主義との関係で考察し、またナショナリズムをめぐる独自の貢献によっても知られているなど、本研究の枠内で重要な参照点となる存在である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度で対象として設定した、16・17世紀をめぐる研究としては、著書『隠遁者、野生人、蛮人』において、独自の考察を盛り込むことができた。また結論におけるニーチェ論は、本研究の枠内で重要な意味を持っており、今後のさらなる検討の第一歩となるものである。メーストルやカリブ海域の二人の知識人の業績の研究を通し、ヨーロッパと文明、さらにはナショナリズムの諸問題を、ヨーロッパ外部からのまなざしも考慮に入れつつ、検討することができた。

Strategy for Future Research Activity

本研究は主として16世紀から両大戦間期までの時期を分析の対象とする。しかし第二次大戦後から21世紀初頭の現在に至るまでの諸問題については、計画にとらわれずに常時検討を続け、そうして培われたアクチュアルな問題関心を、研究本体へと絶えずフィードバックしていきたい。日本における文明論の研究についても、同様の心構えで臨む。研究成果については、適宜個別的な論文または学会・シンポジウム発表の形で公表することを心掛ける。論文については、必要に応じ、フランスの媒体への投稿も考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本研究は、16世紀から20世紀前半までのフランスならびにヨーロッパ史・思想史を広く取り扱うばかりでなく、第二次大戦後から現在に至るまでの欧州統合プロセスをも視野に収め、さらに派生的研究として、「西洋の衝撃」への反応として日本で生み出されることとなった諸々の思想的営為の検討をも企てる。広範な時代・地域を対象とし、関連分野もきわめて多岐に渡るこのような地域横断・領域横断的研究を遂行するに伴って、次年度も多くの書籍の購入を行う。資料調査のためのフランス渡航も予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] キリスト教と文明:スタンダールとシャトーブリアンの事例に即して2011

    • Author(s)
      片岡大右
    • Journal Title

      スタンダール研究会会報

      Volume: 第21号 Pages: 2~3頁

  • [Presentation] ジョゼフ・ド・メーストルにおける自然法・野生性・ヨーロッパ2011

    • Author(s)
      片岡大右
    • Organizer
      日本フランス語フランス文学会
    • Place of Presentation
      一橋大学
    • Year and Date
      2011年5月28日
  • [Book] 隠遁者、野生人、蛮人――反文明的形象の系譜と近代2012

    • Author(s)
      片岡大右
    • Total Pages
      ix、434
    • Publisher
      知泉書館

URL: 

Published: 2013-07-10  

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