2012 Fiscal Year Research-status Report
「文化資本としてのマンガ」の思想的影響に関する国際比較
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23720045
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
吉村 和真 京都精華大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00368044)
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Keywords | マンガ状況の国際比較、韓国、シンガポール / 文化資本 / マンガ教育 / マンガリテラシー / メディア環境 / ポピュラーカルチャー |
Research Abstract |
本研究で国際比較のフィールドに選定した日本、韓国、シンガポールの状況について、順に述べる。 日本については、身体化された文化資本としてのマンガ状況を考察するために、出版社に属する編集者への取材を通じ、1990年代以降のマンガ市場の推移を把握するとともに、これまでの売り上げまたはマンガ史研究上の評価をふまえて、主要なマンガ作品の収集を実施した。 韓国については、マンガの教育現場の実態調査として、前年度中に採集したアンケート結果の整理を進めるとともに、制度的および客体的な文化資本としてのマンガの有様を把握するために、大学でマンガの実作方法を学びつつプロのマンガ家を目指す若者へのインタビューを実施するための準備を整えた。 シンガポールについては、客体的な文化資本としてのマンガの環境を考察するために、現地へ取材調査に赴き、国内最大のマンガ取り扱い書店を経営する日本人社員ならびに現地スタッフへの取材を行い、シンガポールがどれだけ多言語のマンガを翻訳しているか、歴史的・文化的・宗教的背景などとともに、その特異性について把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本については、予定通りに出版関係者への取材を実施できており、マンガ市場の規模や推移に関しては、当初の研究の目的を達成するための基礎情報の集約も順調に進んでいるが、読者の意識を調査するためのアンケート実施が遅れている。その遅れの要因はスケジュール管理の問題に尽きる。 韓国については、アンケート結果の整理はおおむね順調だが、その結果予測から、追加調査およびインタビューの必要性が高まってきたため、その実施予定先と協議を進めている最中だが、そのためのスケジュールがまだ整っていない。 シンガポールに関しては、取材は予定通り進んだが、すでにアンケート調査先との協力関係を構築しながら、現地出張中の会合日程が折り合わず、その実施に至らなかった。また、今回の取材結果から、さらに詳細把握のための追加出張も計画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本については、読者の意識調査として京都国際マンガミュージアムでのアンケートを実施するとともに、必要に応じて他の類似施設での調査を追加する。そのための先方への協力はすでに依頼済みである。 韓国については、プロのマンガ家を目指す若者、もしくはすでに活躍中のマンガ家への取材を実施し、採集済みのアンケート結果とのつき合わせを進める。そのための先方との日程調整はすでに確約している。 シンガポールについては、遅れているアンケート調査の実施を先行させつつ、実施済みの取材結果とのつき合わせ次第で、再度現地での取材を実施する。そのための先方への協力はすでに依頼済みだが、まだ日程調整が残されている。 以上の結果をふまえ、論文およびインタビュー記録の形式で、京都精華大学国際マンガ研究センターのホームページ上に、その研究成果を発表する。全体の進捗状況によっては、日英併記による発信を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
京都国際マンガミュージアムでのアンケート調査、韓国でのインタビューに関わる旅費および謝金、シンガポールでの取材に関わる旅費および謝金を計画しているが、韓国でのインタビューに関しては、先方が来日時に実施できる場合は旅費を省く。 また、成果発表の進捗によっては英語への翻訳費用を追加する。
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