2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720054
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
渡沼 玲史 一橋大学, 大学院法学研究科, 助手 (50419751)
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Keywords | ドイツ / フランクフルト |
Research Abstract |
平成23年度は調査した結果に基づき研究対象をウィリアム・フォーサイスに絞ることを決定すると共に、近接分野である音楽における実験的創作法、とくにセリー主義との比較に基づき、フォーサイスの即興システムが複数セリーのランダムアクセスによる舞踊の自動生成という側面と、それが身体という固有の限界を持つ媒体によって実現されるために様々な過剰と不足を含むため、単なる順列組み合わせとは異質のダンスが生まれるということを明らかにした。平成24年度は平成23年度の調査結果に基づき、引き続きフォーサイスの実験的創作法に関する研究を進めた。平成23年度の研究では、フォーサイスの創作法のシステムとしての側面は説明が可能であったが、そのシステムのなかで実際に踊っているダンサーたちの主体が問題にされることはなかった。そこで平成24年度は、やはりシステムの記述としては大変な成果をもたらしながら、主体という問題系の処理において批判を受ける構造主義との比較において検証した。特にジル・ドゥルーズの構造主義理解と比較することで、フォーサイスのシステムにおけるダンサーの位置が対象=xの位置に当たると考えることができた。しかし、同時にまだまだ異同も多くそのことの意味を検証し、より整理した形で記述していく必要があることを確認した。 また並行してフォーサイスのシステムに関する情報収集も継続して行なっており、フォーサイス・カンパニーにおける聞き取り調査やブリティッシュ・ライブラリーにおける文献調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属先変更に伴い出張可能期間が変わり、調査研究出張の計画を見なおさざるをえななくなり、資料収集のための海外出張が予定より遅くなり年度末になってしまった。そのため収集した資料の整理と調査が若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度末に行った調査研究出張によりウィリアム・フォーサイスの≪インプロヴィゼーション・テクノロジーズ>>のオリジナル・ヴァージョンがドイツ・ケルンのタンツアルヒーフにあることが判明した。この資料はフォーサイスの実験的創作法を研究するための一次資料として非常に重要なものである。従ってまず夏季休暇期間中にタンツアルヒーフに出張して≪インプロヴィゼーション・テクノロジーズ>>の調査を行い整理・分析を進める。平成24年度末の出張で収集した資料とあわせて整理・分析を進めることで平成24年度に生じた遅れを取り戻すとともに、その成果を舞踊学会、美学会等で発表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はインタビューに伴う謝金が発生しなかっため未使用額が生じたが、平成25年度の研究費と合算してダンスアルヒーフへの調査研究出張費に使用する。
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Research Products
(1 results)