2012 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭における日本陶芸技術の西漸に関する研究
Project/Area Number |
23720055
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前崎 信也 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, ポストドクトラルフェロー (20569826)
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Keywords | 国際情報交換 / 日本陶磁史 / 近代工芸史 / 近代窯業史 / 日英文化交流史 / データベース / イギリス |
Research Abstract |
本研究は1924 年から1925 年にイギリスのセント・アイヴスに半年間滞在、バーナード・リーチのために日本式の登窯を建造し、生産体制充実のために専心した日本人陶芸家松林靏之助(1894-1932)の事績を中心に、当時イギリスに伝えられた近代日本の製陶技術が、英国のスタジオ・ポタリー運動を通じ、欧米諸国に伝播した課程を明らかにすることを目的としている。 2年間の研究の結果、朝日焼松林家(京都府宇治市)所蔵の松林靏之助関連資料の整理・デジタル化・データベース化を終えることができた。英文資料に関しては『松林靏之助関連資料データベース』として、立命館大学アート・リサーチセンターのホームページ上で公開を行った。本データベースはイギリスのリーチ工房のホームページからもリンクされる予定のため、本研究の成果の海外発信が期待される。 本研究の内、松林が英国で伝えた登り窯の技術の解明に重要な役割を果たす、大正8年の九州窯業地見学調査報告『九州地方陶業見学記』は、有田町教育委員会から出版助成金を得て、平成25年3月に単行本『松林靏之助 九州地方陶業見学記』(宮帯出版社、352頁)として出版した。 本研究の目的であった、日本製陶技術の西漸に関する諸問題の検討については、前年度イギリス・日本での学会発表及び講演で発表した内容を中心にして、日本民藝協会機関紙『民藝』での全4回の連載、英国陶磁協会の機関誌Transactions of English Ceramic Circle掲載の論文、英国ジャパンソサエティー発行の日英関係に重要な役割を果たした偉人伝集"Britain and Japan: Biographical Portraits Volume VIII"の掲載論文などを通じて広く国内外に発信することができた。 今後は本研究の成果を踏まえ、未公開の資料を中心に研究を続けていく所存である。
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Research Products
(9 results)