2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720056
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 寛 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (40431879)
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Keywords | 五感 / 感性 / 音楽 / デザイン / ゲーム |
Research Abstract |
三年間の研究期間を通して、本研究課題である「五感の編成と序列に関する美学史的研究」は主として、伝統的芸術文化における諸感覚の編成と序列、現代のインダストリアルデザインにおける五感への考慮、デジタルゲームを中心とするメディア芸術およびエンターテイメントにおける諸感覚の役割と機能、という三つの大きな軸に沿って進められた。 第一の軸については、近代の芸術文化史を「耳の思想史」という観点から編み直すことで、視覚や触覚とのせめぎ合いの中から、聴覚がもっとも「民衆的・大衆的」な感覚としてせり出してきた過程を明らかにした。 第二の軸については、これまでもっぱら福祉的文脈で理解されてきた「ユニバーサルデザイン」を、モダンデザインの焼き直し(やり直し)として大局的・批判的に捉えることで、万人に共通する普遍的な諸感覚の編成を想定することが、今日新たなかたちで要請されていることを確認した。またミュージアムでの感性的教育を考える際にも、「美術館」をモデルとするか「博物館」をモデルとするかで様相を大きく異にすることも、本研究課題を通して明らかにされた。 第三の軸については、デジタルゲームというインタラクティブメディアに基づくエンターテイメントが普及する中で、視覚と触覚が新たに独特な関係を取り結びつつあることが理解された。 なお三年間で公開した研究成果は、単著が2冊、共著が2冊、論文が4本、学会発表が10回(うち外国語によるものが4回)、講演等が13回(うち外国語によるものが1回)であった。
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Research Products
(10 results)