2012 Fiscal Year Annual Research Report
平田郷陽と人形芸術運動の研究―平田家資料の調査を通して―
Project/Area Number |
23720074
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
田中 圭子 東京芸術大学, 大学美術館, 学芸研究員 (10571953)
|
Keywords | 工芸 / 美術史 / 芸術諸学 |
Research Abstract |
本研究課題では、人形作家・平田郷陽の旧蔵資料調査(写真、作品関連印刷物、文献資料類)および昭和初期に制作された作品の調査を行い、郷陽の戦前期の創作活動と人形藝術運動との関わりを検証した。 本年度は、前年度に続いて資料の整理と調書作成、撮影、長期保存のための処置を行なうとともに、撮影画像を整理し、資料に関する文字情報と連動したデータベースを構築した。調査で見つかった貴重な資料の一部については翻刻を行い、『人形玩具研究』に掲載した。また、調査の過程で郷陽の岳父・久保佐四郎に関する資料も発見され、これにより東京藝術大学が所蔵する作品が佐四郎の作であることが確認された。その詳細については、『東京藝術大学大学美術館年報』に発表した。この他、国内外にある戦前期の作品の所在調査を行うとともに、前年度に完了した在米答礼人形の調査・撮影データ、展覧会での成果をふまえ、新たに判明した情報をデータベースに反映した。 二年間の調査により、平田郷陽が戦前期の創作活動のなかで人形の展覧会芸術としての可能性を拓いていったことを実証する多くの新知見が得られた。この調査・分析結果は今後も整理を進め、学会誌や展覧会を通して公開していく予定である。今回の調査は作家が遺した膨大な一次資料の一部に留まったが、引き続きアーカイブ化を進め、公開を促進していくことで、今後の近代人形工芸史研究の一助としていきたい。
|