2014 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠映画――身体、視覚文化、リプロダクティヴ・ライツ
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23720078
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木下 千花 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60589612)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 映画 / ジェンダー / 妊娠 / リプロダクティブ・ライツ / 視覚文化 / 国際情報交換 カナダ / エクスプロイテーション / 映画配給 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の前半は、単著『溝口健二の映画世界』の占領期の性と妊娠のテーマを扱う章(第6-7章)の執筆と、国際日本文化研究センターの共同研究「昭和戦後期における日本映画史の再構築」(研究代表:谷川建司)で8月末に行った口頭発表「映倫改組と妊娠映画」(業界内自主規制と外国映画配給)のため、占領期について補足的な研究を行うと同時に、映画倫理規程管理委員会(旧映倫)時代(1949-1956)の外国映画配給について、資料収集と分析を行った。国会図書館などで調査するとともに、8月にはカナダのウェスタン・オンタリオ大学図書館でアメリカの映画業界誌Variety電子版や新聞で日本での配給と「妊娠」と映画の関係について資料収集し、1950年代日本の青春映画の専門家である同大のマイケル・レイン助教授と意見交換を行った。この発表では、出産シーンを含むデンマーク映画『私は子供が欲しい』(1949年製作、1954年日本公開)の旧映倫審査軽視が問題になったこと、『青春の果実』『不良少女モニカ』(ともに1955年公開)などのヨーロッパ映画が、『太陽の季節』などに見られるティーン妊娠テーマの先駆けとなったことを明らかにした。2015年には谷川氏編集の論集に論文として寄稿する予定である。 9月には、昨年オーストラリアで行った1930年代の映画女優堕胎スキャンダルについての発表に基づき、シェリー・スタンプ教授(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)が編集する学術誌Feminist Media Historiesの創刊号のため、1930年代後半のシングルマザーものや職業婦人ものとの関連についての研究結果を加えて英語論文を執筆し、受理され、出版された。また、論文「「胎児」の誕生――『悪魔の赤ちゃん』と1970年代妊娠ホラ―」の校正を行い、『映画とテクノロジー』(ミネルヴァ書房)の一章として出版された。
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Research Products
(3 results)