2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本演劇の近代化に於ける大正期「オペラ俳優」の特性について―沢モリノを中心に―
Project/Area Number |
23720084
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中野 正昭 明治大学, 文学部, 兼任講師 (40409727)
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Keywords | 浅草オペラ / オペラ/歌劇 / 音楽劇 / 日本近代演劇 / 西洋音楽受容 |
Research Abstract |
平成25年度は最終年度ということもあり、成果発表の他に社会発信に力を入れた。 成果発表は研究発表2、資料翻刻1、学術論文1、共著1を行った。研究発表2(国内発表1:日本演劇学会全国大会でのパネル・ディスカッション「東アジアの演劇市場における〈近代〉としての宝塚歌劇―娯楽、展示、集団、学制」(代表:中野正昭)中の口頭発表「東京の歌劇運動からみた初期の宝塚歌劇」。海外シンポジウムでの招待講演1:国立台北芸術大学での国際シンポジウム「歌.舞.劇―戲劇與大衆性」中の口頭発表「從東京的舞台娯樂來看歐美化/近代化―淺草/新宿/丸之内」)。日本演劇学会の研究発表では、観客の嗜好・志向性を反映した娯楽市場の観点から、浅草オペラの「女優」と宝塚歌劇の「生徒」を比較し、両者の特性を考察した。台湾の国際シンポジウムでは〈浅草/新宿/丸の内〉三興行地域の舞台娯楽の諸相を論じ、東アジアに於ける芸術/娯楽の問題を相克した一例として浅草オペラを紹介した。資料翻刻1(「翻刻 ローシー・オペラ 歌劇『椿姫』」)では浅草オペラの源流の一つとして知られるG・V・ローシー主宰オペラ団の最終公演のリブレットを翻刻し、これまで不明だった翻訳文体、音楽的再現性の検証を可能にした。論文1(「澤モリノの浅草オペラ時代」)、共著1(吉田弥生編著『歌舞伎と宝塚歌劇―相反する、密なる百年』掲載「近代日本演劇としての初期宝塚歌劇―浅草オペラ雑誌に見る東京での少女歌劇受容」)では、それぞれ浅草オペラに於ける「歌劇女優」の特殊性を、前者では「沢モリノ」という個人を通じて、後者では浅草オペラ雑誌に見る歌劇運動としての宝塚歌劇の受容と反発を通じて明らかにした。 社会発信は商業雑誌『歌劇』上の連載「宝塚歌劇考」欄で2回、宝塚歌劇と浅草オペラの相違、岸田辰彌論を通じて大正期歌劇運動での各々の特徴と問題の在り方を一般向けに解説した。
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Research Products
(7 results)