2013 Fiscal Year Research-status Report
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23720087
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
鈴木 直子 立教大学, ランゲージセンター, 教育講師 (10546146)
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Keywords | 中国 / 1930年代 / 演劇 / 留学生 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
今年度は当初の予定では研究成果の発表を行い、海外及び国内の研究者を招聘して研究集会を開催することにしていたが、前年度までに収集した資料の整理が遅れたために、補足調査を中心に研究を進めた。補足調査として主に以下の二方面の調査を行った。一つは国立戯劇学校に関連する補足調査、もう一つは1930年代に日本に派遣された演劇関係の留学生の調査である。 国立戯劇学校の補足調査として、3月に北京の国家図書館での資料調査を行った。国立戯劇学校に関係する重要人物である余上ゲンに関する資料を閲覧し、国立戯劇学校に於いて余上ゲンの果たした役割を考察する上で必要な資料面での補充を図った。 1930年代の留学生については、舞台美術を学ぶために留学した呉剣声について国内の新聞や演劇雑誌、上海の『申報』での報道を調査した。調査には早稲田大学演劇博物館及び東洋文庫に赴き、その結果何点かの資料を発掘することができた。特に呉が日本で行った演劇活動の記録として、国際戯劇協進会の上演記録や雑誌掲載記事を発見できたことは最大の成果である。呉剣声という人物自体、従来研究がなされていないため、今回の調査での資料の発掘は1930年代の日中の演劇交流を理解する上でも大変意義のある発見と言える。 また資料の発見以外にも、呉剣声の活動が日本から中国、そして戦後は台湾の映画界に渡ることも今回の調査から判明した。台湾での呉剣声についても今後引き続き調査を行っていきたい。 調査結果については平成26年度中に研究集会での発表や論文としての公表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国立戯劇学校に関する調査は資料面での調査を概ね終了し、整理を進めている段階である。同校に関連した人物とその活動を追い、学生演劇における同校の特徴や位置付けを考察している。 1930年代の中国人留学生の演劇活動については呉剣声という人物の調査を行った結果、日本留学時期の雑誌記事や新聞記事、そして演劇上演資料を発掘できた。予想以上の資料面での収穫があったため、研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、国立戯劇学校を中国の学生演劇の一連の流れの中にどう位置付けるか、調査資料を整理し結論を出す。 また呉剣声の調査を中心に、1930年代の舞台美術方面の留学生について、日本の築地小劇場や伊藤熹朔との交流関係をより明確なものとなるよう引き続き資料面での補充調査を進めていく。日本時代以外にも、今年度の調査により呉が戦後は台湾の映画界にも関わりを持ったことが判明したため、台湾での活動についても引き続き調査を行いたい。1930年代の日中演劇交流については、日本、中国、台湾の研究者との研究集会を開催し相互理解を深める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査及び資料整理が遅れたため、予定していた国内外の研究者を招聘する研究会の開催ができず、その結果招聘費用や研究会開催費用などが未使用となった。 今年度は研究会を開催し、大部分の予算を国内外の研究者の招聘や研究会開催のために使用する予定である。
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