2012 Fiscal Year Research-status Report
『海人の刈藻』を中心とする院政期物語文学研究の開拓
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23720099
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横溝 博 東北大学, 文学研究科, 准教授 (30303449)
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Keywords | 院政期 / 物語 / 海人の刈藻 / 四条宮下野集 / 建礼門院右京大夫集 / 藤原頼通 |
Research Abstract |
当該年度においては、昨年度の研究成果を活字化するなどして公表した。また、前年度に引き続き、内外の研究者との交流を通して、院政期文学についての認識を深めるとともに、その知見を踏まえながら『海人の刈藻』について研究を進めた。 まず、研究成果としては、論文「按察家の人々─『海人の刈藻』を中心として─」(久下裕利編『源氏以後の物語─継承の構図』武蔵野書院、2012年、所収)、論文「院政期物語としての『海人の刈藻』─『栄花物語』もしくは藤原頼通の時代からの継承─」(中野幸一編『平安文学の交響 享受・摂取・翻訳』(勉誠出版、2012年、所収)を発表した。いずれも、発表直後から高い評価を得ている(武蔵野書院発行のPR誌に於ける横井孝・久下裕利・豊島秀範・仁平道明氏による座談会)。 国内においては日記文学会の分科会である『四条宮下野集』研究会ならびに『建礼門院右京大夫集』研究会に数次にわたって参加し、研究報告を行った。これにより有意義な知見を得ることができた。とくに前者においては、研究会での注釈研究の成果を、宇治平等院ミュージアム鳳翔館紀要『鳳翔学叢』第八輯(2012年刊)に掲載した。また続稿を『鳳翔学叢』第九輯(2013年刊)に掲載する予定である。院政期直前の藤原頼通の時代に成った『四条宮下野集』、院政期直後の後鳥羽院時代に成った『建礼門院右京大夫集』について比較検討することで、その間に位置する院政期の文学の特質について、考察を深めることができた。 以上の研究活動とその成果の公表によって、院政期物語研究の意義を発信できたと考える。当該年度については、概ね研究計画通りに遂行し、研究成果を論文としてまとめることができた。次年度、研究をさらに深めていくことにおいて、意味のある成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「院政期物語文学研究の開拓」という目的において、様々な研究会に参加し、研究成果を報告し、論文として公表した。また、院政期物語文学についての基礎的な考察を、『海人の刈藻』という作品を通して具体的に行い、二編の論文にまとめることができたことにおいて、順調に進展していると評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の活動を概ね継続・履行することで、研究目的の達成に一層努めたい。具体的には研究会への参加・発表、報告書・論文の作成、またそのための資料収集、資料調査のための出張、文献収集を重ねることを主とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画を推進し、研究活動を具体的に行うために、主として資料収集、研究会への出張において適切に使用する。
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