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2012 Fiscal Year Research-status Report

反戦平和言説とジェンダー

Research Project

Project/Area Number 23720107
Research InstitutionNara University of Education

Principal Investigator

中谷 いずみ  奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (10366544)

Keywords平和運動 / 労働運動 / 母親大会 / 原水爆禁止署名運動 / 生活綴方運動 / 1950年代
Research Abstract

本年度は、反戦平和運動における女性の役割やイメージの問題を明らかにすべく、日本教職員組合婦人部による平和運動や母親大会に関するメディア言説を収集整理し、分析を行った。資料については、キーワードを付したデータベースの作成を進めているところである。また、当時の政治的社会的文化的状況と照合しつつ考える必要があるため、他の女性団体による運動や国外の運動との繋がりを示す資料や、当時の女性教師や母親に付されていたイメージを理解するための関連資料についても収集整理しているところである。関連領域を含む資料データベースの作成は、1950年代における反戦平和運動と女性との関わりを考えるための基盤になるものであり、重要な意義を有するものである。
また、資料収集整理を行うと同時に、本年度は原水爆禁止署名運動における女性の表象について引き続き調査研究を行った。その際、労働組合などが先導した他の運動を調査研究することで、当時の政治状況や世論の状況の中で、従来の運動スタイルが壁にぶつかっていたことが見えてきた。そうした状況の中、運動自体を広く承認を得るための打開策として、女性の語りや表象が用いられたと考えられる。その際の言説の様式は、生活綴方の影響を受けており、言説様式や表象において子どもと女性の繋がりと断絶を考える必要があるということが調査を通して見えてきたことである。本年度は、女性以外が担った反戦平和言説や運動を同時代的に見ていくことで、新たな問題を見出すことができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

反戦平和運動とジェンダーという観点から、労働組合や母親運動における女性の反戦平和言説の様式変化や、運動におけるジェンダー編成の問題に関する調査分析は順調に進んでいる。
ただ、資料のデータベース化については、入力作業時にキーワードを付しながら進めているため、予想よりも作業に時間がかかってしまっている。汎用性の高いデータベースをめざすためにもキーワードの設定は重要であり、その作業を省くことはできない。研究の基盤となるものであり、質を保障するためにも、やむを得ないと考えている。人手を増やすなどの方策について、考えることとしたい。
なお、資料収集・整理については、当時の新聞雑誌記事の確認はもちろんのこと、関連図書などについても学会や関連する研究会などで情報を集めながら作業を進めている。

Strategy for Future Research Activity

データベース入力作業とあわせて資料のPDF化を進めることとする。また、データベース化に時間がかかっているので、作業人数を増やすことも考えたい。更にこれらの資料を踏まえた上で、1950年代の反戦平和言説における女性の語りの特徴について分析を進める。また、同時代性を重視することで、言説様式の変化や政治状況との関わり、そして表象の戦略性について引き続き調査研究を進めることとする。特に、反戦平和運動の言説様式の変化と生活綴方の隆盛との関わりに注目し、そこで取り込まれた言説様式が形成する表象の可能性と限界について考えたい。これまでの調査を踏まえるならば、そこには当時盛んに論じられた「国民」や「民族」といった集団表象との関わりも考える必要があると思われる。これらについて、文学や文化をめぐる議論を参照しつつ、運動における女性表象が果たした役割について考えたい。
また生活綴方との関連でいえば、女性による反戦平和言説が子どもの言説に学ぶかたちで様式化されていくことの意味を、ジェンダー偏差の問題も絡めつつ考えてみたい。そのためには、反戦平和運動における女性に対する当時のメディア言説の調査も進めることとする。本テーマを同時代的にとらえることの意義は、本年度までの調査研究で充分に見えてきたので、引き続き、同時代の政治的社会的文化的状況も視野に入れていく。そのためにも、研究会や学会で報告を行い、さまざまな分野の研究者と議論を重ねることを通して、本テーマの調査研究を進めていくこととしたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

資料収集整理、データベース作業等に関わる人件費、情報収集のための学会・研究会参加や資料調査に関する旅費、図書・コピーなどの資料費

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Book (2 results)

  • [Book] 戦争を〈読む〉2013

    • Author(s)
      石川巧・川口隆行編
    • Total Pages
      260
    • Publisher
      ひつじ書房
  • [Book] 青弓社2013

    • Author(s)
      中谷いずみ
    • Total Pages
      307
    • Publisher
      その「民衆」とは誰なのか

URL: 

Published: 2014-07-24  

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