2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720107
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
中谷 いずみ 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (10366544)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 生活記録運動 / 草の実 / 労働運動 / 女性運動 / 女性表象 / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、「反戦平和言説とジェンダー」関連資料について、1960年代まで対象を広げて調査・収集・分析を行った。昨年に引き続き、特にこの時期の反戦平和言説が労働運動と深く結びついていたことを踏まえ、女子工場労働者の労働運動がどのようなイメージで語られていたかについて関連するメディア言説を収集し、データベース入力を行った。この問題についてはこれまでの研究も含めるかたちで「女子工場労働者の綴方」と題し、韓国の成均館大学東アジア学術院・東国大学校文化学術院主催会議で口頭発表を行った。また1950年代後半の女性による反戦平和言説を考えるために、草の実会(機関誌『草の実』)について調査・分析を始めた。この調査は現在も進行中である。これらの調査・分析から、女性の表象が政治運動をめぐる語りの中で政治性脱色のシンボルと見なされたり語られたりすること、女性たちの間でも自己教育や民主主義的プロセスに価値を置くことで脱政治化していこうとする声と、政治的立場を鮮明にしていこうとする声との衝突が見られることなどが分かった。 また、1950~60年代における反戦平和や運動の言説からの分析を踏まえつつ今の問題を考えるために、現代の運動をめぐる言説や、排外主義・ナショナリズム言説と新自由主義の関わりについても調査・分析を行った。この研究の一部は唯物論研究協会のシンポジウムにおいて「「ラディカル」な運動の戦略/受容―主体表象と承認の政治―」と題して報告した。また現代の問題については、国内のみならず、海外の動向との比較検討を行うために、東アジア女性文学研究会を立ち上げた。第一回目を釜山で第二回目を東京で開催した。第二回目の会では、やはり成果の一部として報告を行った。その結果見えてきた、排外主義・ナショナリズム言説と新自由主義との共犯的関係については、近日中に論文で報告する予定である。
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