2012 Fiscal Year Annual Research Report
16・17世紀における縁起絵巻・掛幅絵の制作と民衆信仰の在り方に関する研究
Project/Area Number |
23720112
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
日沖 敦子 神戸学院大学, 人文学部, 講師 (30448708)
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Keywords | 説話 / お伽草子 / 寺社縁起 / 絵巻 / 掛幅絵 / 浄土教絵画 |
Research Abstract |
24年度は、主に昨年度に続き、檀王法林寺・西寿寺での資料調査を継続しつつ、掛幅絵の背面にある記述の整理を進め、17世紀の掛幅絵の制作背景、及びそれに付随して語り伝えられた説話や物語について考察を深めた。その成果の一部として、仏教文学会シンポジウム「寺社参詣の展開と変容―中世から近世へ」(於専修大学、2012年12月8日)でパネリストとして「廻国の僧と民衆―布教と信心のかたち」というテーマで報告を行い、新出の浄土曼荼羅の紹介を行った。この成果は『仏教文学』38号に掲載される予定である。また、調査の過程で新たに明らかとなり、調査寺院の軸木から確認された一連の文書(「京都新聞」夕刊1面、2013年4月9日)については、公開講座「當麻曼荼羅と中将姫説話の諸相」(於奈良国立博物館、2013年4月20日)で一般に向けて報告を行った。稿を改め、論じる予定である。 このほか、新出のお伽草子「かみよ物語」の伝本紹介として「大阪府茨木市磯良神社(世話方七軒)蔵「玉之井の縁起」絵巻について」(『伝承文学研究』61号)をまとめたほか、就実大学シンポジウム「瀬戸内海の寺社縁起」(2012年11月10日)でパネリストとして「『鞆浦観音堂縁起絵巻』の成立とその背景」というテーマで報告を行った。 来年度以降も引き続き、絵画資料/説話・物語との関わりを意識しつつ、それらの文芸がどのような空間で求められ、制作されたかについて、調査/研究を進めていく。
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