2012 Fiscal Year Research-status Report
幕末国学者の出版と文学活動―城戸千楯(京都書林恵比須屋市右衛門)の研究
Project/Area Number |
23720120
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
青山 英正 明星大学, 人文学部, 准教授 (10513814)
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Keywords | 国文学 / 日本史 / 出版 / 国学 / 近世文学 |
Research Abstract |
平成24年度における、本研究の目的および実施計画は以下の通りであった。 城戸千楯の文学活動については、彼自身の著作の内容の検討、交流者リストを作成し、とりわけ上方狂歌壇との関係を解明する。一方、出版活動については、出版書目リストを公表し、その全容を捉える。 以上の計画に対して、本年度は、出版・売弘書目154点および鐸舎蔵板・製本書目13点のリストを学術雑誌に発表した。また、2代にわたる書肆としての活動について24年12月に口頭発表をおこない、千楯とその子千屯が、京都という地の利を生かして全国の学者と広く交流し、その交流の上に出版活動があったこと、鐸舎という場所が、私塾・出版作業所・文人交流の場といった性格を併せ持っていたことなどを明らかにした。 ついで25年3月にも口頭発表をおこない、そこでは資料として千楯・千屯の交流者リストを作成、配付し、彼らの出版活動と人的交流との関係を、より具体的に検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出版書目リスト作成の際に、刊・印・修にも留意しつつ後印本や出版記録も可能な限り調査したため、千楯の著作の調査についてはなお不十分の点がある。具体的には、他人の著作の書写や書き入れなども算入すれば、10点ほどの未調査資料がある。そしてそのために、著作内容の検討もいまだ十分とは言いがたい。また千楯と交流のあった人物の経歴についても未調査の点が多くある。
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Strategy for Future Research Activity |
千楯の書き込み本や書写本を含めた著作の悉皆調査をおこない、あわせて内容の検討をおこなう。並行して交流者リストを、それぞれの略歴を含めた形で整備する。また、これまでに明らかになった城戸家の出版活動を、本居宣長や平田篤胤一門のそれと比較してその特色を浮き彫りにする。 これらのことを論文という形で公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料整理のための2穴ファイル等の文具代を追加で計上する(10千円)。その他は資料調査のための国内旅費および資料複写代である。具体的には、小浜市図書館、内藤くすり博物館、石水博物館などの調査を予定している。
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