2012 Fiscal Year Annual Research Report
浮世絵師西川祐信の基礎的研究―上方と江戸の文化交流を中心として―
Project/Area Number |
23720126
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石上 阿希 立命館大学, 衣笠総合研究機構, ポストドクトラルフェロー (20516819)
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Keywords | 国際研究者交流(イギリス) / 国際研究者交流(アメリカ) / デジタルアーカイブ |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の二点である。 ①西川祐信の全作品総合目録の作成及びデータベース化、②多角的視点(浮世絵研究・文学研究・社会史研究)からの祐信の作品・作家研究 ①に関して、2012年4月から7月まで大英博物館を研究拠点として、祐信作品の調査及び2013年10月から開催される大英博物館での春画展準備を進めた。大英博物館の所蔵する祐信の肉筆画、版本など70点の書誌調査・撮影を行った。またヴィクトリア&アルバート博物館(イギリス・ロンドン)の所蔵品27点の調査も行った。この調査によって得られた情報を、作成中の西川祐信作品総合目録に追加した。 最終年度は、②に重点を置いて研究を進めた。西川祐信の画業は多岐に亘り、その作品を分析するためには、文学史、美術史、装飾史、風俗史など様々な視点が必要となる。そのため、本研究では様々な分野の研究者と共同研究を行うことで、祐信を立体的に照射することを目指している。具体的には、「第二回西川祐信研究会」を開催し、美術史、工芸史の3名の研究発表を行った。主なテーマは、上方の出版界の動向と祐信の春本、祐信の雛形本と着物、漆器のデザインと祐信絵本の関連性である。第一回、第二回の研究会で、国内外の研究者7名から研究発表を行った。最終年度は、それらの口頭発表を論文化し、論文集として刊行した(立命館大学アート・リサーチセンター発行、全167頁)。論文集には3名の海外研究者からの論文も含まれる。それらの論文は、英文と日本文の両方を掲載し、国内外に広く研究成果を発信できるようにつとめた。文学史、美術史、工芸史、社会史など多様な分野から祐信を考察し、論文集全体で多角的に祐信を捉えることができた。また、祐信に関わる先行研究も目録化し掲載した。
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