2013 Fiscal Year Research-status Report
ホーソーンと南北戦争前アメリカのコンテクスト――ジェンダーの観点からの研究
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23720151
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
藤村 希 亜細亜大学, 経済学部, 講師 (30509237)
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Keywords | 国際情報交換 / アメリカ / ナサニエル・ホーソーン / 南北戦争 / ジェンダー / 評伝研究 |
Research Abstract |
本研究の平成25年度の中心作業は、1.2本のThe Scarlet Letter論の発表、2.アメリカ、シカゴにおけるMLA大会でのThe Elixir of Life Manuscriptsに関する口頭発表、3.2の準備を主な目的としたアメリカ、コンコードおよびボストンにおける現地調査、4.ホーソーン晩年の未完作品・手紙・日記等の読解と考察、5.南北戦争に関する新しい研究資料の収集と読解・考察、であった。 1.前年度に寄稿・投稿した2本の異なる内容のThe Scarlet Letter論のうち、1本は研究書に、もう1本は大学紀要に、掲載された。 2.平成26年1月にシカゴで開催されたMLA大会におけるNathaniel Hawthorne Society主催のセッション“Hawthorne in 1864”で、ホーソーン最晩年の未完原稿The Elixir of Life Manuscriptsに関する口頭発表を行った。南北戦争開戦後に執筆の始められた、独立戦争開戦時を舞台とするこの未完の原稿をもとに、ホーソーン最晩年の共同体と帰属に関する態度を探った。会場では、他国の研究者との意見交換も行った。 3.平成25年8月に、アメリカ、コンコードおよびボストンにおいて現地調査を行った。独立戦争開戦の地であるコンコードの戦地跡や博物館等での調査、Concord Free Public Library、Boston Public Library、Harvard University付属Houghton Library等での調査と資料収集を行い、得られた結果の一部は2の発表に活用された。 4.および5.ホーソーン晩年の著作物、および南北戦争に関する新しい資料の読解と考察を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、2本のThe Scarlet Letter論の発表、MLAにおける口頭発表、アメリカ、コンコードおよびボストンにおける現地調査、資料の収集と分析、などは当初の予定通り遂行することができた。予定通りでなかったのは、主に以下の2点である。第一に、平成24年度に行ったThe Marble Faunに関する口頭発表を論文にまとめ発表すること、第二に、同じく平成24年度に行った“Chiefly about War-Matters”に関する口頭発表を論文にまとめ発表すること、である。後者に関しては、発表の機会をいただいた立教英米文学会より、紀要『英米文学』への発表要旨掲載の依頼をいただいたため、論文としての発表を延期した。前者に関しては、本年度に行ったThe Elixir of Life Manuscriptsに関する口頭発表準備の過程で、The Marble Faunという作品をホーソーン晩年の作家経歴の流れの中で考察し直す必要を強く感じたためである。これは“Chiefly about War-Matters”の論文としての発表の際にも資するものとなると考え、ホーソーン晩年のもう一つの未完原稿The American Claimant Manuscripts、および最後の出版作品であるイギリス滞在スケッチOur Old Homeの読解と考察を行い、ホーソーン最晩年の著作物とそれら相互の関係について、大きな見取り図を得ることを優先させた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度行ったホーソーン最晩年の作品の読解と考察をもとに、1.The Marble Faun、2.“Chiefly about War-Matters”、3.The Elixir of Life Manuscriptsに関する3本の論文の完成と発表を集中して行いたい。これらをもとに、ホーソーンに関する研究書をまとめる準備を並行して行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は所属機関の異動により、資料収集と物品購入が遅れた。学会発表原稿を英語論文として投稿する予定だったが、日本語の論文集に寄稿することとなり英文校正が不要となった。平成24年度は身内に不幸があり、本研究申請時に計画していたアメリカでの調査研究、およびイタリアでの学会発表原稿の論文としての投稿ができなかった。平成25年度は研究が進展したものの、前年度までの繰越金のため未使用額が生じた。 第一に、これまでに行った学会発表をもとにした英語論文、および日本語論文に付す英文要旨の校正費としたい。第二に、論文作成の過程で必要となる資料等の購入費としたい。
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Research Products
(1 results)