2013 Fiscal Year Annual Research Report
文学批評再読による1960年代英国文化論-「モダニゼィション」による社会の消失
Project/Area Number |
23720158
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大貫 隆史 関西学院大学, 商学部, 准教授 (40404800)
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Keywords | 英文学 / 文学批評 / 文化論 / イングランド / ウェールズ / 近代化論 |
Research Abstract |
本研究課題は、イギリスの文学批評を再読し新たな強調点を見出すことで、1960年代英国文化論見直しの端緒を開くことを目的とし、初年度以降以下の方法論を採用してきた。ひとつは、1960年代文化を、従来的な「反抗の季節」という解釈とは、その力点を異にした形で記述することであり、もうひとつは、「脱近代化(ポストモダニゼィション)」の先駆けの時代として評されることの多いこの時代を、「モダン論」(文学批評)ならびに「モダニゼィション論」(政治的言説)という観点から考察することである。 上記二点における「反抗の季節」、「脱近代化」とは、言いかえると、1960年代文化における支配的な思潮と言えるものであり、初年度ならびに二年度目においては、そうした支配的思潮を明らかにする作業を重点的に行ってきたが、これを継続しつつ、三年目にあたる本年度では、そうした支配的思潮に対するいわば反発としての勃興的なものを析出すべく、あわせてその解明を試みた。その際、、本研究が焦点を合わせている書き手の一人であるレイモンド・ウィリアムズと、その出身地であるウェールズ、ならびにウェールズ文化との関係の浮き彫りにする作業、あわせて、1960年代の前後の年代を考察することで、1960年代を20世紀後半というより長い時代のなかで位置付ける作業が、重要な課題として浮かびあがってきた。
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Research Products
(3 results)