• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

第二次世界大戦をめぐる倫理的問題と理想主義の諸形態―アンドレ・ブルトンを中心に

Research Project

Project/Area Number 23720177
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

有馬 麻理亜  神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (90594359)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsブルトン / バタイユ / クノー / シュルレアリスム / ヘーゲル / 理想主義
Research Abstract

本年度の成果の一つは、昨年度から準備をしていた当該研究に関する論文の発表があった。その一つが「それはかれであったから それはわたしであったから―ブルトンとバタイユの対峙を可能にした場としてのヘーゲル」(『水声通信』、2011年8月、34号、水声社、pp .221-232.)である。本論文では、一般的に良く知られているバタイユにおけるコジェーヴを通じたヘーゲル哲学を扱わず、むしろコジェーヴに影響を受ける以前のバタイユがどのようにヘーゲルを読んでいたのかを分析した。この論文の完成によって、先行研究で行なわれてきたブルトンとバタイユの対立関係を強調するのではなく、両者が互いを必要としながら対立を乗りこえ、独自の思想を形成していく様子を明らかにすることができた。また、雑誌La Critique Socialeの一部を翻訳し、解題した(「『哲学雑誌』のヘーゲル三篇を評す」、前掲書、pp188-191)。これはバタイユとクノーがヘーゲル哲学をどのように捉えていたのかをより深く理解する鍵となった。さらにこれら2つの論考によって、ブルトンとバタイユのヘーゲル読解を繋ぐ思想家の一人としてジャン・ヴァールの重要性が明らかになった。一方30年代のブルトン思想における独特の理想主義の原点を明らかにするため、論文「直観的理想主義の誕生―若き日のブルトンにおけるヘーゲル読解と『シュルレアリスム宣言』―」を神戸大学仏語仏文研究会に提出した。現時点では、24年に発表すべくブルトンとバタイユがどのようにフロイト・マルクスを必要としたのかを分析中である。これらは交付申請書に記載した、30-40年代におけるブルトン思想と、彼と関わった作家との関係についての分析という当該年度の目的と計画に沿ったものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

論文発表に関しては、論文投稿から公刊までの時間があるので、予期していたよりも少々公に発表する時期が遅れることはあるが、現時点で平成24年度に発表する予定の「30年代後半から40年代のバタイユとブルトンにおけるフロイトとマルクス思想の受容」に関する論文の準備は予定通り進展している(平成23年度の成果発表)。またこの論文の投稿後、当初から予定の一部としていた「いままでブルトンとあまり比較・対照されていなかった同時代の作家との関係」の下準備に着手する予定である。上記が全て基本的に申請書に記した目的と計画に一致しているため、おおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

交付申請書の計画、あるいは目的にすでに記載した通り、平成24年度以降は主に(1)平成23年度の研究を継続(2)その成果を学会、研究会等における公表(3)ブルトンと同時代の作家や詩人との相互関係の分析という3つの課題に取り組む予定である。特にブルトンと同時代の作家、詩人に関しては、今までとりあげてきた彼と直接に接点があるものだけではなく、観念的、理想的傾向の強いブルトンと直接的な関わりを持たなかった作家にも対象を拡大していきたい。後者の作家に関しては、まず綿密な先行研究の分析を行なう予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度の研究費の使用計画はおおよそ申請書にすでに記載した計画に必要なものに当てられる予定である。つまり主にブルトンと同時代の作家、詩人に関する研究準備に必要な資料研究のための渡仏、学会等の成果公表の旅費、文献となる書籍の購入、あるいは必要なパソコン周辺機器(印刷用インクやバッテリー等消耗品、発表に必要な機器)の購入に当てることになる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 直観的理想主義の誕生 ―若き日のブルトンにおけるヘーゲル読解と『シュルレアリスム宣言』 ―2012

    • Author(s)
      有馬 麻理亜
    • Journal Title

      EBOK(神戸大学仏語仏文学研究会)

      Volume: 24 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] それはかれであったから それはわたしであったから―ブルトンとバタイユの対峙を可能にした場としてのヘーゲル2011

    • Author(s)
      有馬 麻理亜
    • Journal Title

      水声通信

      Volume: 34 Pages: 221-232

  • [Journal Article] 『哲学雑誌』のヘーゲル三篇を評す(翻訳、解題)2011

    • Author(s)
      有馬 麻理亜
    • Journal Title

      水声通信

      Volume: 34 Pages: 188-191

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi