2011 Fiscal Year Research-status Report
戦後初期台湾における民族主義文学の成立と展開―梁実秋を中心に
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23720185
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中野 知洋 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70372638)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 梁実秋 / 民族主義 / 台湾 |
Research Abstract |
台湾の国立国家図書館、及び国立台湾大学図書館等の機関において、2度に亘る資料調査を実施し、梁実秋「光栄的悲劇第一幕」(『反共義士奮闘史』台北:反共義士就業輔導処、1955)、梁実秋・張芳杰著『美國是怎樣的一個國家』(台北:復興書局、1954)等、1950年代以降の梁の反共親米に傾く民族主義思想を示す基礎資料と、梁実秋・侯健撰『關於白璧徳大師』(台北:巨浪、1977)等、1920年代より継承される人文主義(ヒューマニズム)関係の論文を収集することができた。 さらに香港大学図書館、香港中文大学図書館等の香港における機関においても調査を実施し、丁星五主編・梁実秋英訳『錦繡河山China the beautiful』(香港:国際出版社、1955)、丁星五主編・梁実秋英訳『宝島台湾Taiwan the beautiful 』(香港:国際出版社、1960)等、台湾における対外宣伝の一翼を梁が担っていた実態について知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
梁実秋の全集等既存のものに収録されていない第一次資料の収集は概ね順調に進んでいると考えられる。しかし一方で、梁に関する先行研究も収集しているが、多方面に亘るこの文人の先行研究についてその全体像を把握し、その中に当該研究を位置づけるという点においては、なお時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、23年度に引き続き梁実秋を中心とする民族主義の成立と展開について考察することとし、同時に、そのような梁の民族主義的思想が梁の従来の自説である人文主義といかなる形で接続し、融合するのかについて調べるため、上海図書館において1940年代までの梁実秋の思想的展開を再調査する予定である。具体的には、まず『文芸批評論』(中華書局、1934)において展開する浪漫主義・近代主義的批評との関連を考察する。またその上で、1930年代後半に至り新聞・雑誌に発表した反共・反日評論における民族主義思想の特徴を考察する。24年度は研究のまとめの年でもあるため、上記についての成果を論文として公刊する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第一次資料の収集の収集は概ね完了したものと考え、台湾の所蔵各機関において引き続き先行研究の収集と精読、さらに上海図書館において2回調査を実施し、1930年代後半の梁実秋の反共・反日評論の調査を行う。以上に45万円を使用する計画である。 研究会での発表のための資料作成等に5万円を使用する。
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