2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720189
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
廣澤 裕介 立命館大学, 文学部, 准教授 (20513188)
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Keywords | 全相平話五種 / 図像 / 三国志演義 / 張尚徳本 / 李卓吾本 |
Research Abstract |
これまでの研究に引き続き、特に『三国志平話』を含む『全相平話五種』に関して、資料収集やフィールドワーク、研究発表をおこなった。『三国志平話』の図像の分析をおこなった内容を平成25年8月より執筆し、「『全相平話』のビジュアルワールド-「上」から見る作品の世界」という一文にし、翌年2月28日刊行の瀧本弘之・大塚秀高編『中国古典文学と挿図文化』(アジア遊学171、勉誠出版)に掲載された。この論では図像のスペースの特徴とそのスペースに対応した典型的な五つの構図を紹介し、また図像全体が示すテーマや優れた彫版技法について言及し、『三国志平話』に対する従来の諸研究が指摘してこなかった図像と作品の特徴を明らかにすることができた。また『全相平話五種』の図像の特徴を東アジア美術の歴史の中でとらえようと試み、敦煌の壁画や仏教説話画との関係、また中国近世の芸能資料、日本の絵巻物や絵解き芸能などさまざまな分野の研究書を読み進め、また絵巻物の実物や絵解き芸能の実演などを実見するフィールドワークをおこなった。それらの報告として「『全相平話』の「全相」と上図下文スタイルについて -『三国志平話』を中心に」という口頭発表をおこなうことができた(中国藝文研究会、平成26年4月27日、立命館大学末川記念会館)。 『三国志演義』に関しては台湾の故宮博物院図書部にて、その初期版本とされる張尚徳本、近年注目されている周曰校本の丙本の調査をおこなうことができた。そして蓬左文庫に収蔵される『李卓吾先生批評三国志』の刻工である劉素明の彫版経歴と技術を明らかにするために、彼が刻工として携わった兼善堂刊行『警世通言』の図像と中心として、題辞、本文テキストとの関係について研究をおこなった。
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Research Products
(2 results)