2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720194
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斯欽巴図 東北大学, 東北アジア研究センター, 教育研究支援者 (70590199)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流・中国 |
Research Abstract |
1.『初学指南』の異本を収集し、テキスト間の比較、校正を行った。具体的には、平成23/9/26~平成23/9/29日に東洋文庫で、平成23/12/29~平成24/1/18日に中国の大連市図書館、内蒙古社会科学院図書館と故宮博物院図書館で資料調査を行い、『初学指南』の異本を収集し、テキスト間の比較を実施した。こうした資料調査において、東日本大震災の影響もあって出遅れた部分もあるが、研究対象の正確さと完全な状態を確保するためには欠かせないものである。 2.『初学指南』の満洲文字表記モンゴル語をローマ字転写して、白話体漢文と共に計算機に入力し、電子化テキストを作成した。こうした作業は、今後の『初学指南』のモンゴル語の言語学・文献学的分析と検討を効率的に実施するためのものであるが、近代モンゴルの口語の資料として『初学指南』の満洲文字表記モンゴル語の全単語索引および名詞・動詞語尾索引を作成する基礎でもある。 3. 平成24/2/25日に『「三合語録」における満洲文字表記モンゴル語の研究』(東北大学出版会)という学術図書を出版した(日本学術振興会平成23年度科学研究補助金〔研究成果公開促進費〕による)。本書の第1章では、『初学指南』の書誌情報、第2章では『初学指南』と『三合語録』の最初の7話のテキストの比較、第5章では『初学指南』と『三合語録』との一部の語彙の比較が行なわれている。これらは、『初学指南』の全文における満洲文字表記モンゴル語の言語的特徴を明らかにする上で重要な手がかりとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料調査や電子化テキストの作成など研究課題は、基本的に計画通りに進んでいる。 一方、23年度内に学会での発表を目指していたが、震災の影響により実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 研究の現段階では、『初学指南』のモンゴル語の全文に日本語訳を施す作業を進めている。これは、同書のモンゴル語を近代モンゴルの口語の資料として位置づけ、日本国内に公開することを前提として実施するものである。これと同時に、『初学指南』のモンゴル語の音韻・文法・語彙といった言語的特徴を分析し、言語の通時的研究の観点から同モンゴル語の口語の実態を検討している。 2. 24年度に日本国内と中国において、『初学指南』のモンゴル語と同時代のモンゴル語口語の資料調査を実施する。こうした資料との比較によって、同書の口語の特徴が一層明らかになることが予測される。また、研究発表と雑誌掲載によって、研究成果を公開することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は次の通りである:調査資料整備用消耗品・研究書籍など物品費100,000円、成果発表・調査研究・資料収集など旅費351,403円、資料収集/整理・資料提供/閲覧など人件費・謝金50,000円、印刷・複写などその他の費用50,000円。 こられのうち、次年度に使用する予定の研究費51,403円が含まれている。これは、23年度に予定していた人件費・謝金などが生じなかったことによるものである。こうした研究費を、次年度の資料調査にかかる旅費に当てる予定である。
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Research Products
(1 results)