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2011 Fiscal Year Research-status Report

文処理における韻律と情報構造のインターフェイスについて

Research Project

Project/Area Number 23720196
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

小泉 有紀子  山形大学, 学内共同利用施設等, 講師 (40551536)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords心理言語学 / 文処理 / 国際情報交流(アメリカ・フランス) / 否定 / 作用域 / 英語 / フランス語 / 日本語
Research Abstract

文処理における統語と韻律のインターフェイスについての探求を目的とした研究の一環として、23年度は文献研究やデータの分析が主となったが、国内外の研究協力者との打ち合わせ・講演を通しての情報交換を通じ、英語以外の言語における統語と韻律のインターフェイスとその処理プロセスの解明につながる以下のような有意義な成果を得ることができた。1.英語の文処理における非明示的韻律の影響に関する実験データの分析:研究費を使用しての海外出張により協力者との打ち合わせ・データ分析の結果、同一被験者グループの中で刺激文提示時における改行(非明示的韻律境界)の役割を探求したところ、改行の有無は先行実験で得たデータ傾向に変化を及ぼすような要因ではないことが分かった(Fs<1)。このことで、先に得た2実験の結果は妥当なものであることが結論付けられた。2.フランス語における関連構文の処理実験:統語と韻律の関係における言語による差異を探求するために、フランスの研究者と協力して実験打ち合わせを行った。最も時間と労力を要する刺激文の準備にフランス語母語話者の協力が必要であることから、実験構築完了は24年度以降になりそうであるが、研究費を使用してのフランス出張により、協力体制の構築を可能にすることができ、有意義な年度となった。3.日本語の類似構文の研究:文献研究や国内出張を通じた打ち合わせ、招待講演におけるフィードバックを通じ、日本語における研究を本格化させるステップとすることができた。特に、「真理子は節約するために100円ショップに行っていない」というような目的節と否定の作用域の相互関係に関する構文について日本語母語話者の直感を得られ、24年度はこの構文を中心として研究を進めていく方向性が決まった意義は大きい。ヨーロッパ語とは異なる統語・韻律構造を持つ日本語の研究により興味深い結果が得られるよう努力したい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

言語の構造の理解において情報構造や韻律がどのように関与するかというテーマの探求にむけて、平成23年度は他言語における関連構文の処理についての実験構築の足掛かりを作ることができた点で、有意義な年度となった。特に、当初からの計画通り、日本国内の研究者との協力体制を発展させることができ日本語での実験が現実的なものとなったこと、また国際情報交換としてフランスの研究者とも協力体制を作ることができた点は有意義であった。一方で、予定したほどの進捗が見られなかった点もある。前年度までに得た結果の論文発表が予定よりも遅れていることや、上記の他言語における実験構築のプロセスにおいて、当初想起していた直感的仮説がうまく機能しないと考えられたため、実験デザインの改訂をすることになったことにより、当初よりも実験構築が遅れてしまった。しかしながら、これらの遅れは甚大なものではなく、24年度の活動をより活発なものとすることで取り戻せると考えるため、現在における研究計画の達成度は「おおむね順調」とした。文献研究も含め、24年度はさらに充実した研究活動を目指したい。

Strategy for Future Research Activity

1.各言語における処理プロセスの多様性と韻律の役割の探求否定と副詞節の作用域の曖昧性の処理において韻律が及ぼす役割が大きいと仮定すると、言語ごとの韻律特性により好まれる統語構造が異なることが予想される。この韻律と統語のインターフェイスに関するテーマに沿って今期は2つの言語についてデータ収集を行う。1a. フランス語:スペイン語において関係代名詞節の処理が英語でのそれと異なるという事実は心理言語学、文処理の分野で長く研究されてきており、各言語の韻律特性の違いに焦点を当てた説明とその検証もされてきた。本研究で用いている構文の処理プロセスの探求をフランス語においても行うことは、言語による違いも視野に入れた一般言語処理メカニズムの探求において重要である。海外研究協力者の所属機関における打ち合わせを通じ実験構築を完了させ、遂行・データ分析にこぎつけたい。1b. 日本語:同じように、日本語における関連構文の処理についても実験を行う。先に述べた、否定と目的節(~しようとして)の作用域の相互関係についての曖昧構文をどのように理解しようとするか、そしてそのプロセスにおいて韻律や情報構造がどのような役割を果たすかについて研究する。2. L2英語学習者における実験:英語における当該構文の処理は、日本語のような、英語と大きく異なる統語特性をもつ言語を母語にもつ被験者にとって可能なのか、またどのような点が困難なのかについて実験を行う予定である。これにより、本研究計画の間接的目標の一つである、英語教育、指導法への応用へつなげる一歩としたい。英語の刺激文のセットがすでにあること、また研究代表者と協力者の所属機関において被験者獲得が可能なため、実験構築と実施は比較的容易であることが予想される。なお研究成果はまとまり次第順次学会などで発表していく予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

現時点における24年度の研究費を使用予定は推進方策に述べた順に以下の通りである。1.各言語における処理プロセスの多様性と韻律の役割の探求:文献研究をさらにすすめたいが、関連する文献の中には国内では発注困難な洋書が多いため、今年度は書籍費として前年度より多く支出する可能性が高い。1a. フランス語における実験:前年度と同様、ヨーロッパにおける国際学会への参加による情報収集と、研究協力者との打ち合わせならびに実験構築のための出張を予定する。刺激文の仏語への翻訳が必要と考えられる為、協力者への謝金も支出する予定である。1b. 日本語:日本語における実験では、所属機関において実験を行うが、協力者への謝金が必要となる。その他、国内の研究協力者との打ち合わせに必要な出張旅費、情報交換のための学会参加費が必要となる予定である。2. L2英語学習者における実験:この実験においても、1bと同様所属機関における協力者への謝金、データ分析協力者との打ち合わせのための出張旅費の支出を予定している。その他、成果の発表に伴う出張などの経費としても適宜使用を予定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 2011

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Influence of information structure and prosody on the processing of scope ambiguity: The case of 'not-because' sentences in English and beyond2012

    • Author(s)
      小泉有紀子
    • Organizer
      第15回関西言語心理学研究会(招待講演)
    • Place of Presentation
      関西学院大学(大阪府)
    • Year and Date
      2012年1月21日
  • [Presentation] How can pragmatics and prosody influence the processing of scope ambiguity? The case of ‘not-because’ sentences in English.2011

    • Author(s)
      Koizumi, Yukiko
    • Organizer
      Meeting of the Developmental Psycholinguistics Laboratory, Rutgers University(招待講演)
    • Place of Presentation
      Rutgers大学(アメリカニュージャージー州)
    • Year and Date
      2011年10月26日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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