2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23720200
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
磯部 美和 東京藝術大学, 言語・音声トレーニングセンター, 講師 (00449018)
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Keywords | 言語獲得 / 受身文 |
Research Abstract |
本研究は、日本語を母語とする幼児(日本語児)の統語獲得過程を調査することで、言語獲得理論と言語機能のモデル構築に貢献することを目的とする。本年度は、前年度より開始した、日本語児における直接受身文の理解に関する検討を進め、その成果を国際学会で発表し(GALA 2013)、論文にまとめた(Proceedings of GALA 2013)。具体的には、直接受身文の発話は2歳代で見られるものの、その理解(とくに三人称を主語とする直接受身文)には6歳になっても困難を示すことが先行研究により報告されている。本研究では、直接受身文を発話する際の話者の心情に着目し、(1)子どもへの大人からの話しかけの中に、どのような直接受身文が含まれているのかを分析し、(2) 3歳児から5歳児に対して先行研究と同様の方法で実験を行った。その結果、大人からの話しかけの中には、三人称を主語とする直接受身文はほとんど含まれないのにもかかわらず、 被験児が発話者の心情を示す手掛かりを与えられた場合、これを大人と同様に理解できることが明らかとなった。 本研究では研究期間全体を通して、日本語児の①与格主語構文、②かきまぜ文、③関係節、④受身文の獲得状況を調査し、これらが獲得されていることを示した。①~④に関する統語分析は近年多数提案されており、また③や④については、日本語以外の言語を母語とする子どもによる早期獲得が報告され始めている。①~④の早期獲得を説明するためには、普遍文法の関与を検討することが不可避であり、引き続き言語獲得理論の構築を進めることで、言語機能理論に提案を行っていく。
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Research Products
(2 results)