2012 Fiscal Year Research-status Report
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23720202
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大島 義和 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (40466644)
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Keywords | 引用構文 / 話法 / 省略 / 慣用表現 |
Research Abstract |
本研究は、日本語で、引用構文の主部となるべき発話述語「言う」および思考述語「思う」が省略される現象(引用述語省略現象)を対象としている。初年度には (1) 先行研究の整理、(2)研究対象となる現象の下位タイプへの分類 (3) 各タイプの形態的特徴、機能的特徴、および分布 (省略が可能となる条件) の考察を行ったが、本年度は、考察をさらに進め、研究成果の一部を論文にまとめて発表することができた。 より具体的には、日本語における引用の文法論・意味論的特徴を整理したするとともに、引用述語省略現象の分類・記述・考察を行った英語論文(佐野真一郎氏との共著)が、Isabelle Buchstaller氏(Leipzig University)およびIngrid van Alphen氏(University of Amsterdam)によって編集された引用構文についての論文集 Quotatives: Cross-linguistic and cross-disciplinary perspectives (John Benjamins Publishing Company, 2012)に収録された。 また、引用述語省略現象についてこれまで提案されてきた2つの考え方、「省略説」「構文説」の2つを比較してその長短を論じる日本語論文を単著として執筆し、『茨城大学留学生センター紀要11号』に投稿して掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象となる言語現象の理解を深め、網羅性の高い記述を行うことができた。記述・考察をまとめた論文2点を執筆・発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「文末型引用述語省略」と名付けられた現象(例「山田さん、今日は来られないって」)について、その機能を文末表現(終助詞等)の機能に関する先行研究の知見のなかに位置づけることを試みる。また、主語や目的語の省略など、自然言語に広く見られる「省略」という現象について、理解を深め、「省略」全般と比較して「引用述語省略」にどのような特徴が見られるかを考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究テーマに関連する図書を購入する。研究に必要な消耗品を購入する。研究成果の発表や情報交流のために、国内外の学会・研究会に参加する。
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