2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720202
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大島 義和 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (40466644)
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Keywords | 引用構文 / 話法 / 省略 / 慣用表現 |
Research Abstract |
本研究は、日本語で、引用構文の主部となるべき発話述語「言う」および思考述語「思う」が省略される現象(引用述語省略現象)を対象とした。初年度は、(1)先行研究の整理、(2)研究対象となる現象の下位タイプへの分類、(3)各タイプの形態的特徴、機能的特徴、および分布(省略が可能となる条件)の考察、(4)コーパス資源を活用した用例の収集、に取り組んだ。 第二年度は、データ収集と考察をさらに進め、論文の執筆を行った。具体的な成果としては、日本語における引用の文法・意味的特徴を整理し、引用述語省略現象の分類・記述・考察を行った英語論文(佐野真一郎氏との共著)が、引用構文に関する論文集 Quotatives: Cross-Linguistic and Cross-Disciplinary Perspectives (John Benjamins 社より 2012年に発行) に掲載された。また、引用述語省略現象についてこれまで提案されてきた二つのアプローチである「省略説」「構文説」を比較してその長短を論じる日本語論文(単著)を、『茨城大学留学生センター紀要11号』に投稿し、掲載された。 最終年度は、(1)引用述語省略現象のより精緻な記述のための、コーパス資源を利用した実例収集およびデータベース作成、(2)引用述語省略現象の、Sign-Based Construction Grammar (記号基盤構文文法)の枠組みにもとづく分析の構築、(3)他言語(朝鮮語、アフリカ系諸言語)における関連現象との対照を目的とした文献収集、に取り組んだ。2014年度以降、成果を論文にまとめ、発表する予定である。
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