2013 Fiscal Year Annual Research Report
動的統語論とタイプ理論的意味論を用いた量化詞の統語的・意味的研究
Project/Area Number |
23720206
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小林 昌博 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (50361150)
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Keywords | 形式文法 |
Research Abstract |
25年度は、前年度に実施した部分構造論理を用いた範疇文法の拡張モデルをさらに修正したうえで、実際にコンピュータ上に実装する研究を行った。まず、用いる体系としては、自然演繹の計算体系を選択した。現象としては量化詞を含む文の解析を目的としている。入力として平叙文を受け取り、自然演繹の証明図を模した解析結果と解析にともない計算された意味表示を論理式として出力するシステムを構築した。 実際のシステムはPrologで書かれており、解析に利用する文法を記述しているパース用のプロシージャと辞書コンポーネントからなっている。基づく枠組みが範疇文法という、語彙主義といわれる理論なので、語順や量化詞のタイプ理論上の情報は基本的に辞書に書かれている。具体的には、それぞれの単語は、カテゴリーとラムダ式のペアとして定義される。 量化詞の計算に関しては、意味計算は統語計算とパラレルに行われるため、主語名詞句として用いられる量化詞と目的語名詞句として用いられる量化詞は異なるタイプが与えられている。通常、動詞句は主語を引数としてとり文の意味を返すような関数として定義されるが、本システムでは、量化詞を含む主語や目的語が動詞句を引数としてとるような高階の関数として定義することが可能になっている。本システムでは、Prologの性質を利用して複数の証明図(樹形図)をすべて求めることができるため、将来的には量化詞のスコープに起因する曖昧性などを求めるシステムへと拡張する予定である。また、将来的にはコンピュータシミュレーションによる文法システムの進化モデルを構築する際に本システムを利用する予定である。
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