2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720220
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
南 英理 (田中 英理) 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40452685)
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Keywords | スケール構造 / 意味論 / 最小値閉スケール / Measure phrases |
Research Abstract |
平成25年度は,(i)英語のどのような動詞が度量句(measure phrases, MP)と共起するか,(ii)その分布が形容詞とMPの分布と同じ制約に支えられているのか,を検討し,(iii)前置詞におけるMPの分布の予備的調査を実施した. (i)について:英語の裸の度量句(以下裸のMP)とbyを伴う度量句(以下by-MP)の分布は,一般的にby-MPが許されれば,裸のMPも許される.そこで,by-MPを許容する動詞群を同定するために,BNCコーパスを用いてby-MPとの共起関係を調査した.結果,by-MPを許す動詞群は,状態変化を表す動詞,目的語に比較対象をとる動詞,及びrotateに代表されるようなある場所からの位置変化を表す動詞に分類されることを明らかにした. (ii)について:形容詞とMPの分布に関しては,先行研究により,比較級形容詞とMPの共起を許すような言語では,原形形容詞との共起も許す.原形形容詞との共起のうち,原形形容詞のもつスケール構造に依存してMPの容認性が変化することが報告されている(Sawada and Grano (2011)).形容詞のスケール構造が最小値で閉じている場合,通言語的にMPが許される.先行研究では,by-MPの分布については限定的にしか言及がない.本研究では,英語の裸のMPとby-MPは,この点で異なるタイプの分布を示し,by-MPは最小値閉スケールであることに厳密にしたがっていることを明らかにした.その上で,(i)の動詞群は,比較に基づいて最小値を導入できる場合と動詞の語彙的意味として最小値を持つ場合があり,いずれも形容詞と同じ制約でby-MPの分布を説明できることを明らかにした. (iii)については,BNCコーパスなどを利用して,MPの出現可能性,出現可能な場合は,MP/by-MPのいずれと共起するかを調査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
形容詞におけるMPの分布,動詞におけるMPの分布については,調査を終えており,順調に達成していると考えられる.しかし,前置詞については予備調査の段階であり,終了していない.また,程度副詞の分布については,さらに調査を行う必要があるため,やや達成度に遅れがある.
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Strategy for Future Research Activity |
前置詞句におけるMPの分布の調査とともに,程度副詞の調査・分類を行う.また,コーパス調査で得られた結果とともに,英語母語話者に対する調査も行い,コーパスデータでは得られない否定的証拠を収集する. 結果については,秋以降に開催される学会で報告を行うことを目標とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に産前産後・育児休業のために研究を行うことができなかった.その後,1年間の期間延長を申請し,24年度に行う予定であった計画を25年度に,25年度に行う予定であった計画を26年度へと繰り越した.そのため,次年度使用額が生じた. 学術書関係するものとして,電子ジャーナル購読料,学術書籍の購入,データ収集に関わるものとして,コーパス使用料,調査協力者への謝礼,成果発表のために,学会旅費,原稿の英語校閲依頼費,その他物品購入を予定している.
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