2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南 英理 (田中英理) 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (40452685)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | スケール構造 / measure phrases / 動詞 / 形容詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度に引き続き、英語、日本語における裸のmeasure phrasesとby付きのmeasure phrasesの動詞句における分布と形容詞における分布の観察(=I)を行い、以下のような分析(=II)を提示した。 (I)1. 形容詞におけるmeasure phrases/by-measure phrasesの分布の差は、開スケール形容詞(tall, wideなど)の原形の場合、by-measure phrasesが許されない点にある。最小値閉スケール形容詞、比較文ではいずれも許され、最大値閉スケール形容詞は、いずれも許さない。2. 日本語にはby-measure phrasesに対応する形式はなく、裸の形式のみである。日本語の形容詞におけるmeasure phrasesの分布は、英語のby-measure phrasesに相当する。3. 動詞では、従来の観察では空間変化ではby-measure phrasesが許されないとされていたが、回転を表す一連の動詞群ではby-measure phrasesが許されることを指摘した。また、win/miss/out-V等は、by-measure phrasesのみを許すことを観察した。 (II) (I)の観察を踏まえて、(i) measure phrasesの指示対象はタイプdであるのに対してby-measure phrasesの指示対象はタイプ<<d,t>,t>であり、入力となるdegreeの集合に最小値を持つことを前提として要求する、(ii) 動詞では任意に導入されるmeasure functionによってスケール構造を形成し、形容詞と同様にスケール構造を定義する、(iii) measure phrases/by-measure phrasesはMEASという機能範疇によって導入され、意味としてはdegree of standardからの「差」を指定する。ただし、英語の開スケール形容詞では、degree of standardがスケールの0に、日本語では任意の0以外の点に「修正」される。(iv)以上により、形容詞においても動詞においてもmeasure phrasesとby-measure phrasesの振る舞いは、「スケール構造上の最小値の有無」に帰される。 以上の点を東海意味論研究会、Poznan Linguistic Meeting, 阪大英文学会で発表した。
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