2012 Fiscal Year Research-status Report
格体制の交替現象に関する日英語の対照研究-動詞の意味の階層性に着目した分析-
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23720231
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
川野 靖子 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (00364159)
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Keywords | 壁塗り代換 / 格交替 / locative alternation / 動詞 / 意味論 |
Research Abstract |
日本語と英語には、「壁にペンキを塗る/壁をペンキで塗る」「spray paint on the wall / spray the wall with paint」のように、一つの動詞が二種類の格体制をとる現象が共通して見られる。この現象は「壁塗り代換」やlocative alternation等と呼ばれている。本研究の目的は、このような格体制の交替現象がどのような仕組みで起こるのかを明らかにすることである。 二年目に当たる本年度は、前年度に行った用例調査をもとに、交替を起こす動詞と交替を起こさない動詞の違いについて、日英語を対照する観点から分析を進めた。その結果、似たような意味を表す動詞であっても、英語では格体制の交替を起こす(あるいは起こさない)とされているのに対し日本語では交替の可否が揺れる、というケースがあることが明らかになった。たとえば英語のpack、stuff等に対応する「詰める」や、coverに対応する「覆う」がその例であり、これらの動詞が交替を起こすかどうかについては、先行研究の見解も分かれている。そこで、これらの動詞の振る舞いを改めてコーパスで詳細に調査した上で、これらの動詞において交替の可否が揺れる理由を考察した。このような、交替を起こす動詞と起こさない動詞の、いわば境界線上にある動詞を分析したことにより、交替の可否を左右する要因がより明確になり、また、日英語で差異を生じる要因についても示唆を得ることができた。なお、本年度の研究成果の一部を、『埼玉大学紀要(教養学部)』48巻2号に論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、前年度に行った用例調査の結果を踏まえて分析の段階に進み、交替を起こす動詞と起こさない動詞の違いや、動詞の意味的特徴と交替のタイプの関係について分析を進めることができた。よって「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた記述的成果に、本研究代表者が平成20-22年度科研費補助金研究において提案したアプローチ(範疇的語義の階層性に着目したアプローチ)を適用して、日英語における格体制の交替現象を理論的に説明することを目指す。この現象に関する理論的研究は、従来、英語学の分野で多くなされているので、それらの理論との比較検討を明示的に行うことで、本研究代表者の理論の精緻化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(1 results)