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2012 Fiscal Year Research-status Report

日本語史の知見を生かした九州新方言の文法研究

Research Project

Project/Area Number 23720235
Research InstitutionThe International University of Kagoshima

Principal Investigator

松尾 弘徳  鹿児島国際大学, 国際文化学部, 講師 (40423579)

Keywords新方言 / とりたて詞 / 方言文法 / 同意要求表現
Research Abstract

今年度に実施した研究の成果の一つは、2012年3月および2012年9月の2度にわたって実施した鹿児島県内における方言調査である。
2012年3月の調査では、鹿児島市内在住の老年層の方へ対面聞き取りをした。これによって、老年層の鹿児島方言データを収集することができ、若年層データとの比較材料を得ることができた。2012年9月の調査では、鹿児島県内に存する離島である屋久島に足を運び、対面聞き取り調査をおこなった。その結果、総計30名ほどのインフォーマント(被験者)のデータを得た。なお、この調査では九州大学の大学院生に調査協力を仰ぐことで、調査項目の精選やより精緻なデータの収集ができた。屋久島の方言が現在どのような状況にあるのかについては近年あまり研究が進んでおらず、今回の調査成果をまとめることは、衰退が危惧される離島方言の記述という点で大きな意義があるものと考えられる。
上記の2回の方言調査の目的は、本研究の中心課題である「新方言」の確認にある。若い世代に特徴的な新方言を明らかにするためには世代間の比較が必要不可欠であり、今年度の調査では幅広い世代の方言データの獲得を目指した。また、鹿児島県内における新方言の実態を探るためには、世代間の相違のみならず地域間の相違も考慮しなければならない。屋久島という島嶼部で調査をおこなったのも、そのような意図を持ってのことである。このような研究をおこなうことで鹿児島県内における方言の変化の様相が明らかにでき、ひいては本邦の日本語学界の方言研究に寄与できるものと考えている。
また、これと並行して福岡方言のとりたて詞研究の成果を論文にまとめた(松尾弘徳(印刷中)「福岡方言のとりたて詞「ヤラ」「ゲナ」の成立をめぐって」)。鹿児島に限らず九州における各地域における新方言の研究を今後も進めてゆきたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

「やや遅れている」と判断した理由は下記の2点による。
①申請書類に記載した、新方言に関する調査成果を十分に進められていないこと。いまのところ、鹿児島県方言に関してはかなりの量の聞き取り調査データを得ているが、福岡方言、熊本方言に関しては一部地域の調査にとどまっている。また、現時点ではデータをまとめる段階にとどまっており、そのデータの十分な分析をすすめられていない。
②福岡方言に関する学術論文を1件公表できたが、鹿児島方言の研究成果に関しては口頭発表、学術論文等の目に見えるかたちでの成果ができていないこと。
次年度以降は、上記のような問題点を改善すべく、研究活動にいっそうの時間を割きたい。

Strategy for Future Research Activity

前述した今年度の方言調査から得られたデータについては、表計算ソフトExcelを用いて鋭意整理をおこなっている最中である。
次年度中にはこの成果を学術論文や口頭発表のかたちで公表する。たとえば、鹿児島県の新方言のひとつに、同意要求を表す「ダセン」というものがある。これは、「きょうはいい天気ダセン?(=きょうはいい天気だよね?)」「この服いいセン?(=この服いいでしょ?)」といったように用いられるものであるが、これを使用するのは薩摩川内市など一部地域の若年層に限られる。この「ダセン」の分布や用法記述をおこない、その成果を公表予定である。
方言調査で得られたそのほかのデータに関しても日本語学および言語学的分析を加えてゆく予定である。とくに、申請者がこれまで力を注いできた日本語史の知見を生かして、歴史的側面に重点を置いた方言研究をおこなってゆきたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度の研究費は今年度と同じく、謝金と旅費、そして物品購入費に多くを消費する予定である。
方言調査が不可欠な本研究においては、調査地へ赴くための旅費や、研究協力を仰ぐ専門の研究者への謝金などに多くの研究費を要する。
また、円滑なデータ処理のためには、スキャナやプリンタ、およびパソコンの購入も必要となる。
今後の研究をいっそう推進できるよう、研究費の適切な使用を心がけたい。
なお、今年度予定していた福岡県内の方言調査をおこなえなかったため、当初予算分の旅費を予定通りに消費できなかった。これについては次年度の研究活動の中で方言調査をおこないたい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 福岡方言のとりたて詞「ヤラ」「ゲナ」の成立をめぐって2013

    • Author(s)
      松尾弘徳
    • Journal Title

      文献探究

      Volume: 51号 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 若者が使う「新方言」

    • Author(s)
      松尾弘徳
    • Organizer
      かごしま県民大学連携講座「世界の『新文化』を見る・聞く」第3回
    • Place of Presentation
      かごしま県民交流センター

URL: 

Published: 2014-07-24  

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