2011 Fiscal Year Research-status Report
形式と意味のインターフェース研究―日英語の比較構文に焦点をあてて
Project/Area Number |
23720249
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉本 真由美 大阪大学, 文学研究科, 助教 (60580660)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 比較構文 / 段階形容詞 / イベント構造 / 統語論 / 意味論 |
Research Abstract |
本研究では、様々な比較構文の生成過程、解釈プロセスを明らかにすることに主眼を置いている。平成23年度は比較構文の中でもthanの後ろに節をとるタイプの比較構文に注目し、その文に用いられる形容詞や数量詞が比較構文の容認性に与える影響について考察した。thanに後続して節を取るタイプの比較構文には、2種類あると言われており(John invited more men than Bill invited.のタイプとJohn invited more men than Bill invited women.のタイプ)、これらの言語データを広く集めると、それぞれに容認性条件が異なることがわかる。平成23年度の研究では、そのデータを日本語、英語に関して広く集め、データ検証を進めた。データを分析する中で、形容詞を用いた比較構文とmanyや「多くの」といった数量を示す語句を用いた比較構文とでは、後者の方がより広く容認されることが明らかになった。例えば、形容詞を用いた場合、動詞句に現れる語を変えてみると容認性が変わる(例えば、betterを用いた比較構文、He makes a better souffle than he does an omelet.は文法的に認められるが、同じくbetterを用いた文でも、*I saw better movies than I did plays.は認められない)。一方で、manyの比較級を用いた文では動詞句によって容認性が左右されることはなく、広く容認される。このような事実に対し、形容詞/数量詞(と動詞句(の示すイベント))の意味的な面からのアプローチを行い、文が派生するプロセスや意味解釈が行われるプロセスを明らかにする仮説を構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集とのその検証、また、仮説の構築は順調に進んでいるが、当初の予定であった掲載論文については、現在改良を重ねるべく執筆中の段階であり、次年度に持ち越しとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度から引き続き、than以下に節を取るタイプの比較構文についての言語資料を収集し、データベースの補完を行う。その一方で、平成24年度の研究計画に掲げた、than以下に後続する要素が節ではなく句レベルであるようなタイプの比較構文(Phrasal Comparatives)についてもデータを収集し、その分析を行う。これにより、Phrasal Comparativesの統語的派生プロセス、意味的解釈プロセスを明らかにし、平成23年度に構築した仮説の内容と合わせて論文にまとめ、学会発表・論文投稿を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、旅費のうち、海外出張のための費用を未使用で残した。平成24年度は、これを用いて、夏から秋にかけて海外で学会発表を行う予定である。また、新たにデータを収集するPhrasal Comparativesと呼ばれる現象について、その統語的派生プロセスと、意味的解釈プロセスを明らかにするにあたって、必要となる書籍等の購入にも充てる予定である。
|