2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23720252
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
葛西 宏信 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (30458103)
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Keywords | 言語学 |
Research Abstract |
本研究課題では、非制限関係節がいかにして、統語部門で派生されるかということをテーマに、実証的・理論的研究を行った。様々な言語の非制限関係節の諸特徴を詳細に考察した結果、普遍文法は、非制限関係節の派生方法として、少なくとも二種類の派生方法を許さなくてはいけないという結論に至った。 一つ目の派生方法は、英語などの言語で用いられる。この派生方法においては、非制限関係節は先行詞となるべき要素と併合するものの、先行詞だけが主節の要素と併合し、非制限関係節は、主節の要素とは併合されないという派生を取ることになる。この派生方法では、一つの文の中に、どの節点にも支配されていない節点が複数作られることになり、そのような構造をどのように線形化するかを考察した。 二つ目の派生方法としては、非制限関係節も主節の要素として組み込まれていくというものである。この派生方法では、非制限関係節の主要部は、実際は、音形を持たない代名詞で占められており、この非制限関係節は、先行詞とある種の並列関係を持つような構造をなしていると主張した。この派生方法は、音形を持たない代名詞を持つとされる日本語などの言語で用いられることになる。 最終年度には、本研究課題で構築した理論をより精緻化し、その理論が、線形化のメカニズム、併合のメカニズム、ラベル付けアルゴリズムといった、統語部門にとって重要な問題に対し、どのような帰結をもたらすかを詳細に考察した。本研究課題で行った研究成果の意義としては、これまで理論的に問題となっていた非制限関係節の詳細な派生方法を提示したことと、非制限関係節の言語間の異同の原因について説明を与えたことがあげられる。
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Research Products
(5 results)