2011 Fiscal Year Research-status Report
新聞アーカイブ・コーパスを用いた英語語義・語法研究手法の検討から研究実施まで
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23720255
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
加野 まきみ 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (90352492)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | コーパス / メタファー / BNC / SketchEngine / ukWaC / JpWaC |
Research Abstract |
平成23年度の研究計画に基づき,利用可能性のある様々なコーパスの比較検討を行った.数多くの異なる種類のコーパスを置くプラットフォームとしてはSketchEngineの使用が有効だという結論に達し,SketchEngine上での様々な語彙調査の可能性を探った.パイロットスタディとしては,heartという語を取り上げた.この語は身体部位である「心臓」の意味の他に,一般に感情の宿る場所,特に愛情や勇気な抱く場所としての「心」という意味や「(物事,場所,時代などの)中心」など,非常に多くの意味を持っており,その多くはメタファーである.これらの様々な意味用法をBNCやukWaCなどの大型英語コーパスを用いて調査した.同様に日本語でheartに対応する「心」についても日本語コーパスJpWaCを用いて調査した."heart"と「心」には,heart-warming(こころ暖まる)のように,メタファー用法に多くの共通点が見られる.「心」は"heart"と同様,本来は丸い物体に喩えられることが多かったが,近年聞かれるようになった「心が折れる」という表現では「心」が棒状のものに喩えられていることが分かる.このような時代による変化にも注目して"heart"と「心」のメタファー用法の全容を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,全額が支給されるのか不透明であったため,初動が遅れた.
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Strategy for Future Research Activity |
データ処理のための分析ツールの機能の検討・開発を行う.大規模な調査を始めると,膨大な量の結果データを入手することになるので,それらをどのように処理するか検討する.並べ替え,KWIC表示,コロケーションの計算,使用分野の特定など,効率よく行うためのツール開発を行う.その上で本格的な調査・研究を実施する.検索方法が確定し,分析ツールが実装されることで,語彙研究の準備が整う.その上で,下記研究テーマのうちからできるだけ多くを具体化させ,データの収集・分析を行う.テーマとしては以下のようなものが挙げられる.・ある語が初めて紙面に登場してから現在に至るまでの語法・意味の変遷や地域差を探る.・The TimesとNew York Timesを使い,英米ジャーナリズム英語を比較する・The Timesの記事を利用して,新語の誕生から使用範囲の広がりを調査する.・現在同義語として共存している語彙が,これまでどのように使い分けられていたのか,歴史的に遡って調査する.・NewspaperARCHIVE.comを利用し,同時期の同種の記事における語彙使用の地域差の特徴を解明する.・新聞アーカイブの調査結果とジャーナリズム以外の言語使用域(例えば小説・話し言葉)を含むコーパスによる調査の結果を比較し,語彙使用の違いを探る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
コーパスやアーカイブなどのデータ保存・分析のためのコンピュータ,ハードディスク,ソフトウェアなどの物品購入に400,000円 学会発表のための旅費に270,000円,データベース使用料などに200,000円使用する予定である.
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Research Products
(3 results)