2013 Fiscal Year Annual Research Report
共生社会の構築に資する持続可能性教育としての日本語教師養成プログラムの開発
Project/Area Number |
23720260
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 寿子 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (00598071)
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Keywords | 日本語教育 / 教師養成 / 協働 / 言語生態学 / 持続可能性日本語教育 / 内省 / 対話 / 成人学習 |
Research Abstract |
【研究目的と課題】本年度は本科研の最終年度として「持続可能性教育としての日本語教師養成プログラム」(以下、プログラム)を完成させ、プログラムの批判的検討を行った。具体的には、①プログラム受講者はどのような問題意識を持っているか、②プログラム中の受講生の対話はどのように展開するか、の2点を研究課題とした。 【研究方法】上記①は、日本の大学院に留学し、日本語教育学を専攻する大学院生5名に対するインタビューを、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。②はプログラムを実施した二つのフィールド(フィールドA:お茶の水女子大学2012年春学期リベラルアーツ科目・学部生23名、フィールドB:2011年に実施した日本語教師の自主研修・日本語教師3名)で、プログラム受講者のプログラム中の対話やふり返りを、言語生態学や成人学習論の観点から質的に分析した。 【研究成果】分析の結果、①では、留学生たちが留学生活の中で母国の価値観と留学中に身につけた価値観が相反し、その葛藤の中に置かれやすいことが明らかになった。今後、留学生を対象としてプログラムを行う場合、受講生が抱える現在の状況に対する支援にとどまらず、将来展望を把握し、そのサポートを行う必要があることが示唆された。②のフィールドAでは、プログラム中に受講生と教師は互いに応答しながら自己と社会との繋がりを捉え返し、相互に支えながらグローバル社会に対する認識を深化していることが明らかになった。フィールドBでは、受講生同士の経験の語り合いは、単に個別の問題状況を掘り下げることに留まらず、転移による理論の更新が行われるに至ると、共通の状況の改善につながりうる全体に有益なものとしてフィードバックされることがわかった。本年度の成果をもって本研究は、数名でのグループから数十名のクラス授業への展開が可能なプログラムとしてデザインが確定できた。
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