2012 Fiscal Year Research-status Report
言語少数派の子どもをめぐる、地域と学校の連携モデルの構築
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23720262
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
佐藤 真紀 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 研究院研究員 (60589711)
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Keywords | 年少者言語教育 / 言語少数派の子ども / 学校 / 地域 / 学習支援 / 教科・母語・日本語相互育成学習モデル |
Research Abstract |
本研究は、年少者日本語教育において、言語少数派の子どもの言語生態保全を実現するために、実践の手立てとなる「地域」と「学校」の連携モデルの構築を目的とするものである。「地域」と「学校」の連携は、2004年度日本語教育学会春季大会におけるパネルセッションにおいても、年少者日本語教育学の課題として共有されている。パネリストらは、近年の言語少数派の子どもをめぐる諸問題に対して、「学校や教師だけでなく、研究者や支援者との連携の中で教育実践を検討していくことが必要となる」「現場の実践的課題の探求を目指し、学校現場や地域の実践家、関連領域の専門家が協働する、実践・研究コミュニティの形成が模索されている」と、連携の必要性を指摘している。しかしながら、その具体的な手立ては明らかになっていない。そこで、本研究では、言語少数派の子どもをめぐる諸問題を解決し、言語生態を保全していくために、学校教員が地域などの外部の協力者と連携して行う実践をデザインした。そして、当該デザインにおいて、学校と地域の両者が、学習支援の計画、見直し、実施、評価という過程を共有していくことの有効性を検証し、最終的に実践の手立てとなる、汎用性や発展性のある連携モデルの構築を行うことを目指している。 2012年度は、支援チームを組織した2011年度に引き続き、学校の中で地域ボランティアが言語少数派の子どもの学習支援を実施し、データ収集を行った。そして、当該年度は、主に学習支援記録の内容分析を通し、実践・研究コミュニティの一員として、支援者が支援をいかに計画し、見直し、評価しているのかを分析した。分析結果から、支援者自身の学びが描かれ、それらが支援の改善に繋がっていることが明らかになっている。この結果は、支援チーム全員による共同研究として、日本言語文化学研究会、日本語教育学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、言語少数派の子どもの学習をめぐる「学校」と「地域」の連携モデル構築を目的とする。3ケ年に亘る研究の中で、実践そのものの枠組みを計画・修正しながら、【1】連携の実態調査による現状と課題の整理→【2】課題解決に向けた取り組み→【3】「地域・学校連携モデル」の構築という3つの段階に沿って進める。初年度(2011年度)は、東京都板橋区にある区立中学校をフィールドとし、言語少数派の子ども達の状況調査、実践を行う地域ボランティアチームの組織、学校側とのミーティングを重ねたネットワーク作りを行い、言語少数派の子ども達への支援を開始した。支援中のデータは全て参加者の許可を得た上で録音した。続く2年目(2012年度)は、同校にて、前年度に引き続き学習支援とデータ収集を継続した。これまで、延べ17名の子どもに対し、12名の地域ボランティア、4名の学校教員が関わり、毎週1回以上の支援を80回程度行ってきた。同時に毎回支援報告を記録してきた。 また、2012年は、第44回お茶の水女子大学日本言語文化学研究会にてポスター発表、第45回同研究会にてポスター発表、2012年世界日本語教育研究大会にてポスター発表、2012年度秋季日本語教育学会にて口頭発表を行い、研究成果を報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は前年度までの実践を継続して行う傍ら、これまで収集してきた実践データ(90分×約80回分)の文字起こしを行う。言語少数派の子どもの母語使用部分も含まれるため、文字起こしに時間と人手が必要となるため、研究費の主な部分をここに費やす予定である。また、研究データの分析を随時行い、その中間報告を研究会や学会等で発表する予定である。最終的に、研究成果を実践資料とともに報告書にまとめ、言語少数派の子どもの学習支援に関わる教育機関(中学校)や、年少者日本語教育に関わる機関(大学等)に送付し、成果を広く援用、発展させてもらえるよう、発信していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)